神さまのノート
廊下が(何度も書き直した跡)悲鳴をあげてる。近くはないけど遠くもない未来に、この学校もなくなるんだろう。みんなして知らん顔してるけど、流行りのポップスよりも耳障りに、ギシギシと聞こえる。ダサい学食のメニュー。新任の女教師。なじったり泣かせたりして、オヤジかオバンの古株にばれて、反省文をくらう。自分たちだけに通じる隠語でこの町を駆ける。毎日楽しくて仕方ないけど(かすれてて読みにくい)、私たちは絶対に離ればなれになる。
わかりきった話で、先のことはわからない(太い字)なんてのは嘘だ。頭のいい子は東京の大学に行く。理想的な人生ってのを送るためにインターンってのに参加して、そのまま、自分はもっと幸せになれるって思いながら、そこそこくらいの人生を送る。すごく頭のいい子は博士とかになって、10%くらいの確率で自殺する。バカな子は行方不明になって、私くらいのバカな子(読点が消されたり、また追加されたり)は、ずっと同じ生活を送れたらいいのにって思いながら、この町を追い出される。この先はわからないんじゃなくて、ここで行き止まりなんだ。
こんな中途半端で、神さまは作ることをやめた。地上に飽きた神さまは、空に住みたいと、わがままを言って消えた。
この不完全な人間たちの世界で、私の素晴らしい親友は、10に1の確率で自殺するんだろう。私は凡庸に生き残って、親友が死んだことも気づかないだろう。
ここから300km離れた下水のニオイのするベランダで、好きでもないオトコと星を探して、昔みたいには見えなくなったとか言う。本当は見たことなんてないのに、たまたま二週間前に出会っただけのオトコに想像で話す。
その昔には、私にもいっぱいの夢があった。小説家になって、音楽家になって、女性で初めてのJリーガーになる。素晴らしい親友から、スタジアム一杯のエールをもらって。私たちだけの隠語で、風のようにグリーンを駆けていく夢。
楽しいはずの夢から息苦しくなって目覚める。ロングシュートはゴールポストに弾かれ、ありもしない方へ飛んでいって、私の親友の左頭蓋を砕いた。
2019/6/16 殴り書きされた署名
P.S. 廊下が腐りかけてるのはホント。ケイちゃんにお金は返してもらうこと!
(ありもしない方に、大きくダブルクォーテーションがついてる)