約束
入院してから1週間くらいたった。
僕の精神状態も回復して行ったけど、まだまだ入院生活は続くらしい。
その間にもカイちゃんや高谷先生、また女性看護師さんとも仲良くなった。
あ、ちなみに女性看護師さんは岩城さんと呼んでいます
ツバサもたまに見舞いに来てくれて、だいぶ関係も解消されてきた。
「ねえ、カイちゃんはどうして入院しているの?」
「え?」
僕が聞くと、カイちゃんは真剣な表情で僕に話しかける。
「実は・・・おいら、肺炎なんだ・・・」
「肺炎って・・・」
カイちゃんは俯いてしまった。
肺炎・・・聞いた事のあるような病名だった。
ここ最近のカイちゃんはなんだか辛そうだった。
たまに咳もして、熱もあった。
「何で、おいら・・・ゴホ!う!ゲホッゲホッ!」
「!!カイちゃん!」
カイちゃんが突然発作を起こし、あわててナースコールを鳴らした。
あの後、岩城さんとカイちゃんの主治医がやってきて処置をしてくれた。
僕は処置をして眠っているカイちゃんを見て安堵した。
「ありがとう。もしかして聞いたの?彼が肺炎だって事」
「うん」
岩城さんが僕に尋ねると僕は素直に頷いた。
するとカイちゃんの主治医が僕に話してきた。
「すまないが、カイくんの事をお願いしてくれるか?」
「ちょっと先生!?」
「たのむ!」
カイちゃんの主治医は僕に頭を下げるが、岩城さんは納得していないようだった。
だけど僕はいつの間にか首を縦に振っていた。
「ユウタくん!?」
「岩城さん、カイちゃんは・・・友達だから。助けてあげたい」
僕の真っ直ぐな言葉をぶつけると、岩城さんも流石に仕方が無いという表情になった。
その夜、ユウタはカイと会話をしていた。
「ごめんね。ユウちゃんに迷惑かけちゃうな・・・」
「そんな事ないよ」
僕はずっと考えていた。
世の中には病気で苦しんでまで生きようとしている人たちがいっぱいいる。
なのに僕はそんな人たちとは違い、自ら希望を捨てて死のうとしたんだ・・・。
僕は弱かった、バカだった。
僕はカイちゃんの手を握り真剣な表情をした。
「え?」
「カイちゃん、約束して」
「約束?」
「退院するときは二人で元気よく退院するって」
僕は握っている手を強くするが、突然頭痛を感じて頭を抑える。
「ユウちゃん!?」
「・・・約束・・・・して・・・」
頭を抑えながらも僕はカイちゃんに問いかける。
カイちゃんは目に涙を溜めて、「うん」と言ってくれた。
カイちゃんは点滴を打ってもらって、回復しているみたいだけど、
僕はこの後更に地獄に突き落とされる事を知らなかった。