カイちゃんと僕
昼間に寝てから、夕方に目を覚ます。
僕は起き上がると窓の外を眺めていたけど、尻尾をつかまれた感覚がありびくっとする。
「・・・何のようですか?」
「あ、ごめん」
僕は少々怒ったような言い方をしてしまったらしく、相手はすぐに謝る。
だけど、すぐに開き直って僕に質問してきた。
「ねえ、なんて名前なの?」
「・・・え?持田友太・・・」
「ふ〜ん、ユウタくんっていうんだ。オイラは中川魁っていうんだ!」
「カイ・・・いい名前だね。よろしく・・・カイ君」
「んもう!カイちゃんでいいよ〜ぉ!こっちこそよろしくユウタ君!」
「僕もユウちゃんでいいよ・・・」
ある意味うれしかった。
まさか、こんな早く友達・・・、いや、どうせ僕を裏切るに違いない!
僕の中で複雑な波が漂っていた。
夕方に母さんが見舞いに来てくれて安心した表情で居た。
「ユウちゃん。学校ではみんな心配しているらしいわよ」
「ふ〜ん」
僕はその話に不機嫌そうに返事を返した。
母さんは仕方が無いという表情をしていたが、カイちゃんがチラッと僕たちを見ていた。
「もしかして学校が嫌になって・・・」
「・・・・」
母さんが帰った後、カイちゃんが僕に訊いて来た。
「でも仕方ないよね。小学校ってイジメとか多いだろうしね・・・」
「僕、中1だけど」
「え?」
カイちゃんは驚いた表情をしていたけど、僕にはその理由が分からなかった。
やっぱり僕って、小学生に見えるのかなぁ・・・。
「そっかぁ、オイラと同じなのに。大変だね。」
カイちゃんは納得したように言った。
ん?オイラと同じ・・・?
「え?カイちゃんって何年生?」
「んお?オイラは中2だぜ」
それを聞いた僕は爆弾を落とされた気持ちになった。
うそ・・・友達だと思っていたのに・・・先輩だったなんて・・・。
「ん?どうしたん?」
「・・・ごめんなさい」
「ぅえぁ!?」
僕が詫びるとカイちゃんは間の抜けた反応をする。
「僕、先輩にちゃん付けで・・・」
「え?ああ、気にするな!学校じゃあるまいし」
「だけど・・・」
「真面目だなぁ。ここじゃあおいらたちは友達だろ?」
友達だろ?
その言葉に僕は涙を流す。
「ユウちゃん?」
「・・・ひっく、ありが・・・とう・・・うう・・・」
嬉しかった。こんな僕を友達だと思ってくれる事に。
涙はとめどなく流れて、止ってほしかった。
すると不意に暖かくなった。
カイちゃんが抱きしめてくれたからだ。
「泣けよ・・・」
「・・・うぇ?」
「大丈夫だ。泣いてもいいよ・・・」
「・・・うぇぇぇっ」
カイちゃんに抱かれながら僕は声を上げて泣いてしまった。
今まで溜まっていた涙がすべて流れて・・・。
カイちゃんは優しかった・・・。
なんだかんだでこれから迷惑をかけそうかも。