テラホーミング
「え、三十歳?
確か、前に四十と聞いていた…」
「マイラでは、ノラの事など正確に把握しないし、する意味も見いだせないのです。
あなたが知り合ったジークは、二五歳、すでに数ヶ所の皮膚癌を発症していて、かなり内臓も危なくなっています」
二五歳!
二五と言ったら、まだ大学生でも可笑しくはないような歳ではないか…?
「太陽…、ですか?」
「ですから、ある程度以上の社会的地位のある人間は、マイラの外に出ません。
マイラの、あのピラミッド型のバリアは、悪い太陽光を遮断するためのものなのです。
マイラの外に出ない人は、七十、八十歳まで生きますよ、十二人委員会のように。
都市では、中心都市の人間は平均寿命は九二歳で、百歳を越える人も珍しくありません」
これは、まるで昔の貴族かカーストか、という世界だった。
「えーと、ドクターマーヴェの科学の力で、どうにかならないのですか?」
イザベラは音もなく笑った。
「オゾン層を作るのは無理ですね。
それでもドクターマーヴェは、テラホーミングを考えました」
僕は、勢い込んで聞いた。
「それはどんな?」
「植物が、光合成で大気を作ります。
古代、生物の住める環境を作ったのは海藻です。
マーヴェは、海藻をできるだけ増やすべく、海中にホムンクルスのマーメイド族を造り、海藻を増やしています。
何万年か後には、安全な大気が取り戻せるかも分かりません」
何万年!
僕は、言葉を失った。




