三十年
マクルとリナ、リヌの兄弟は友達だし、ノラのジークとそのムレは協力者だ。
もちろん、キャンパさんは優しいし…。
僕は、この世界の事を、殆ど知らなかった。
だから、どう壊すのが正しいのか、が判らない。
今は亡きコフィたちは嫌いだが、このマイラの外の世界の事も教えてくれた。
確か、隣国アフェリアとの戦争を画策する人たちがいるのだとか…。
また、既に幾つもの町を吸収し、都市になった国? もあるとか。
しかし、並みいる敵を全て潰して、マイラを大きくすることが正しい破壊なのだろうか?
また、ノラのジークさんたちを、どう救うのかも問題だった。
僕は中三のウラノカスミなので、こんな世界規模の事に正解は出ない。
なので、僕はエロクレミコを振りほどいて飛び立ち、イザベラに向かった。
「ノラを救う方法ですか?」
「はい。
今のマイラのやり方は酷いと思うんです」
「無論、例えば、ある種の社会保証制度のように、マイラの町がノラの人々を補う事は出来ますよ、ウラガスミ。
しかし、その方法では他の町との差が、より大きくなってしまうでしょう。
そうなれば、マイラは滅び、あなたの破壊も途中で途絶えることになります」
僕は、うーん、と考え込んだ。
「ノラの人たちは、どうやって生活しているんだろう?」
「マイラでは、毎日、何千トンもの廃棄物が出ます。
それを選別、再生、加工などして、交易をし、生計を立てています」
「じゃあ、マイラの食べかすを食糧にしているのですか?」
「プラントからも廃棄物は出ます。
それもノラの人たちの大きな食糧源です」
「農業などはしないのですか?」
「ウラガスミ、ここは、あなたの住んでいた、豊かで安全な世界ではなく、太陽光が確実に人を蝕む世界てす。
そのため、ノラの寿命は三十年なのです」




