シャーレの森
「うわぁ、マクル!」
僕は、とっても恥ずかしい所を見られちゃったように慌てた。
だが、マクルはニヘヘヘと笑い、こっちだ、と僕を引っ張っていく。
そこは脱毛クリームが売っている場所だった。
「お前も使ってるんだろ?
俺も、こことか使ってるんだ」
確かにスベスベの脇とかしている。
「…でも、僕、レジとか並ぶのは…」
と、僕は赤面したが、マクルは、隠れたレジを教えてくれた。
なんでも、この緑の脱毛クリームは、髭にも使えるし、同時にニキビ予防にもなるのだという。
「本当!」
と、僕は興奮した。
ニキビは諦めようかな、と、思ってたんだ…。
でも、考えて見ると、魔王だとか言ってニキビだらけじゃ、格好悪いよね。
やっば、そういうのは一切、ありません、って涼しい顔で居たいもんだ。
僕はいそいそと薬を手に取り、後、消臭剤とか、整髪剤とかも揃えた。
「これは、脱色剤だぜ。
緑の髪は、こんな感じになるんだけど…」
なるほど、マクル君の金髪っぽい黄緑の髪は、そうやっているんだね。
しかし、僕は残念ながら受験生だった。
脱色は控えておいた。
「な、またイザベラに行こうな」
「え、君たちは、お金が貯まったから、もう冒険しなくともいいんじゃないの?」
「なに言ってんだよ。
俺は、働けるうちは働くぜ!
そして…」
マクルは、ちょっと照れながら、いつかリナと結婚したい…、と呟いた。
僕は、ホカホカした気持ちで、ハヌマーンへ帰った。
翌日。
僕は、朝日と共に起き、一人でシャーレの森に向かった。
マクルたちは、しばらくは安全な住居が見つかるまでは、ギルド内に籠る。
その間に僕は、自分のレベル上げと、ドクターマーヴェの遺産を受け継ぎ、魔王の相続を済ませようと思った。
僕のレベルが上がれば、今度はマクルたちを安全にレベルアップさせられる。
だから、今は一人で頑張るのだ。
シャーレの森は、遠目には森だったが、近くで見ると…。
なんか、菌的な感じのものが、密集している場所だった。
「どうすれば良いんだろう?」
僕が呟くと、マリンが言った。
「ここに生えているのは、エロクレミコという人工のモンスターで、元々は食用だったんだよ。
でも、ここまで育つと、刈ろうとすると、攻撃してくるんだ。
だから、必ず一本づつ、潰していくんだ」




