人ごみが寂しくて…
ギルドの周りは広場になっていて、純白のギルド舎を中心に、右手には大きな食堂、左手には武具なども買えるショッピングセンター、そして、冒険者用の大きな宿宿ハヌマーンが立ち並んでいる。
ゲートから、この広場までいたる道には冒険者向けの大小の店が立ち並び、またギルド脇からは、いわゆる下宿のようなものが数多く建ち並んでいた。
僕は、ドキドキしながら、ギルドへ向かう道を歩いていた。
食料や雑貨の店。
魔法や冒険関連の本やアイテムの店。
小さな酒屋や、衣料の店もある。
どの店にも2人連れや、もっと大人数の冒険者が、笑いさざめきながら、色々な商品を覗き、笑ったり、食べたり、喋ったりしている。
僕は、少々、青ざめていたかもしれない。
まさかーー。
まさか、いないのか?
ギャハハ、と男、4、5人のグループが爆発的に高笑いし、中の一人が走り出した。
どん、と僕にぶつかり、僕は倒れた。
彼らは、誰も僕に気がつかないまま、走り去った。
僕は、石畳の地面を、しばし見つめていた。
「あのー」
はっ、と僕は振り向く。
見上げると、可愛い女の子が、いや、とても可愛い女の子が、僕を見下ろしていた。
「はい?」
僕は、期待を込めて、出来るだけ感じ良く、返答した。
「これ、落としましたよ…」
僕は、白い布切れを渡された。
「あ、どうも…」
僕が受けとると、女の子は、くるり、と反転して、歩み去って行ってしまった…。
不意に、町の雑音が、僕の身体に覆い被さってきたーー。