魔王の力
うーん、体育会系の脳筋バカか…。
僕は正直、男に抱きつかれたりするのは嫌だったが、しかしイトウカツマサは、二一世紀に帰還するためには、どうしても友好を育まなければならない相手だった。
「カツマサ。
会えて嬉しいよ。
今日は、どうして僕を呼んでくれたの?」
僕は、なるたけ、好ましい感じに微笑んで聞いた。
「ああカスミ。
なんでも、俺とお前は、二一世紀の日本から空間を越えてやって来た、って事らしいんで、友達になりたくってな」
僕は満面の笑顔で。
「ああ、そうか!
僕も、同じ理由で、君を探していたところなんだ!」
破裂しそうなほど笑い。
「君は、ここで暮らしているの?」
「そうだ。
ここで生活し、地下の訓練場で能力を測定し、より磨くべくトレーニングをしている」
「へぇ…。
君は、どんな力があるの?」
キランとイトウカツマサは、体育会系必殺の白い歯を輝かせて、
「俺は、身体能力は全てMAXだ!」
「さ…さすがはサッカー部!」
「さらに剣技を始め、インストールできる戦闘ジョブは全部、使いこなす」
こ…、これは強力な魔王だ…。
「凄いなぁ…。
それで魔力は?」
イトウカツマサは、は? と言う顔をして、
「俺は二一世紀人だ。
ここの人間と違って、魔力なんて無いぜ!」
そうか…、そーゆー人だったのか…。




