パーティ
「あらあら。
クローラちゃん、ずいぶん可愛い子を連れてきたわねぇ」
えー、マイラ国民で僕のこと、知らないかな?
僕はけっこうショックを受けた。
魔王です、と名乗りそうになったが、これからされることを思い出し、口をつぐんだ。
イーナさんは優しい感じの、柔らかな物腰の美魔女で。
「さあ、ちょっと体のラインを見せてみて」
いや…、実はかなりの肉食系なのかもしれない…。
僕は、この世で一番防御力が高いはずの服をあっさり脱がされ、ショタ化の結果、美女も羨むほどになった素肌を晒した。
「おい、ウラガスミ。
お前、いくら得意は魔法とはいえ、もう少し鍛えろよ!」
僕は世界一防御力の高いブリーフ一枚でクローラに説教された。
「いや、これはダンジョンの魔法の影響で…」
慌てて言い訳するが、イーナさんは。
「凄いわ坊や!
どんなにエステに行っても、こうはならないわよ!」
胸をツルンと撫でられた。
愛の戦士化の影響か、その辺は実はヤバい。
だが、そこは魔王のプライドで必死に耐え。
「あの、そんなカオル君みたいな服でなくていいんです。
ちょっとしたパーティに着れる服が欲しいんです」
あ、ちゃんと礼服が欲しいといえば言えば良かったな、と言った瞬間、後悔した。
「坊やくらいの子なら、少し大胆な方が映えるのよ。
まして、ねえー、女の子だって羨むような、このパールの輝きを見せないなんて罪よ。
クローラもそう思うでしょ」
クローラもかなりの肉食的な目つきで、
「お前、白のパンツがエロいなんて、お前くらいだぜ」
ごく普通のBVDなんですけど!
三枚千円以下の奴で、はっきり言えばクラスで、中三でこんなの履いてるのは僕だけだ。
母には以前から猛抗議しているのだが、勉強の成績を理由に選択の自由を奪われたまま、異世界まで来てしまったのだ…。
出来る兄を持つと、いらない苦労を背負うのだ。
「こんな感じはどうかしら?」
イーナさんはスケッチを見せた。
「それ、女性用の水着ですよね?」
百歩譲ってズボンはないと困る。
僕だって、常に大人しいフォルムでいられる訳ではないからだ。
「え、と、せめて普通のズボンがいいです…」
「まー男の子って保守的なのよねぇ」
現実的なだけだが…。
スケッチはスママなので、指先一本でポンと変わった。
少年週刊誌の子供主人公がよく履くようなハーパンなのだが、なんとなく体にピッタリ貼りついて見える。
「ちょっとこのズボン、細くないですか?」
事実を言っただけなのだが、
「オメーの足が細すぎんだよ!」
何故かクローラに怒られてしまった。
そして上着は全く変わっていない。
「あの…、礼服なのでジャケットとネクタイは必要と思います…」
「あら、そんなの形式の問題なのよ」
いやいやいや、国家間の新しい取り決めに関する国際会議のパーティなのだから、むしろ普通に形式に沿っていることが重要だろう。
学生服なら、少なくとも僕の世界では万能に使えるはずだが、この世界ではそー言った理解はない。
ただ、今まではユニフォームのようなもの、とそれで通してしまっていたのだが、クローラがうるさいから儀礼的な服装を用意することにしたのだ。
「あの、ともかく上着とネクタイはお願いします…」
ハーフパンツは仕方ないにしても、まーそれなりの上着、ネクタイがあれば、後は勝手にYシャツを着用するとか、なんとかなるだろう。
「では、こうね!」
なんとレース地のスーツに輝くブラックの襟のついた、半袖ジャケットに、首にはチャームが付けていたようなチョーカー(ほぼ首輪」がつき、申し訳程度に宝石とリボンがぶら下がっている、奇抜な礼服が出来上がった。
文句を言いたいが、隣にはうるさいクローラ姉さんが控えているので何を言ってもやり込められそうだ。
「分かりました、これでお願いします」
イーナさんは、どうやら魔法で衣装をつくる人のようで、愛の戦士の変身並みの速度で、僕は新礼服を身に着けていった。
靴はブラックなのは良いがピカピカのエナメルで、そこに絹の艷やかなソックスが足に巻き付き、あのショタ専用アイテム、半ズボン用ガーダーベルト、が黒革と輝く銀の光沢で足を飾った。
黒のピッタリ、ハーパン、レースの上着、首のチョーカー型ネクタイは、巨大なサファイアが冷たい青の光沢を放っている。
中は、ほぼ水着のようなものだ。
グリーンの、胸元を大きくさらけ出したタンクトップのように一見見えるが、パンツ一体型なのだ。
そして…。
何故か手首の周りに白Yシャツの袖口だけがつき、カフスボタンには首と同じサファイアが輝いている。
妖精テライスにはキラキラ衣装を着させられ、愛の戦士にも変身した僕が、ついには魔王のまま、こんなショタアイドルのような礼服まで着る事になった。
「さー、ヘアカットとメークよ!」
いやいや、コスプレーヤーじゃないんだから、メークって!
と、思ったが、クローラにガッチリ抑えられ、僕は椅子に座らされ、髪を整えた上でバッチリメークを施され、最後に髪を固められた。
「ウラガスミさん、そろそろ時間ですよ」
メークが仕上がった瞬間、キャンパさんから電話があった。




