戦闘用ロボット
「皆さん、大変です!」
エッグ君型のロボットが叫んだ。
「X12号によると、都市の壁から、戦闘型ロボットが多数あらわれた模様です!」
「あー、やっぱ妨害はしてくるよな」
ケンビシは唸った。
いずれはどこからか妨害があるだろうとは思っていたのだが、だいぶ遅くになっていた。
「ロボット部隊はライフルをレーザー光線に切り替えて、敵と交戦してくれ」
戦闘ロボットぐらいなら、ユリイカ一人でも簡単に片付きそうだが、そこが逆に裏がありそうだった。
勇んで攻めると、何らかの罠にかかる可能性も捨てられない。
「そろそろ仕留めたいぞ!
奥に追い詰めろ!」
どのみち、クリーチャーさえ倒せば終わる戦いだった。
ピクシー軍団が、あまり青い炎を包囲してテレポートされないよう注意しながら、ジリジリと都市の、ケンビシにとっての奥、西の方角に炎を誘導するよう、手前に壁を作った。
青い炎は、何を思ったのか、西に向かう、と見せかけて、ピクシーの壁の下を潜ろうとした。
そこは、ちょうどフェール君たちが、殺しても切っても再生するドラゴン相手に、長丁場の戦いを繰り広げている場所だった。
「ウォーターカッター!」
魔王ウラガスミは密かに、ヒグチカッターのポーズ、と考えている形で、ミズハが水のカッターを発射していた。
青い炎は、偶然にも、自らウォーターカッターに正面衝突する形になった。
ジュウ……。
「あっ…」
ミズハが呟き、同時にケンビシや他の勇者たちも、同様の気の抜けた呟きを漏らした。
あ、火だもんね…。
そりゃ、水で消えるはずだよね…。
あれだけ手こずっていた青い炎は、自らの自損事故と言っても良い形で、この世から瞬時に消えていた…。
一方、裏をかかれたピクシー軍団は、焦っていた。
キィー!
怒りに近い叫びを上げて、青い炎を追った。
そこには漆黒の、不死身のドラゴンがフェール隊を手こずらせていたが、不意に上空から万に近いピクシーたちが襲いかかった。
確かにビクシーたちが虫などは食べるのは皆、知っていた。
が、まさか十メートルを超えるドラゴンに群がり、瞬時に骨だけにするとは思わなかった。
ピクシーたち自身にも、ドラゴンを食物と認識していたかは不明だが、彼らはともかく慌てていた。
思わず…。
不死身のドラゴンは、自らも驚いたであろう小さな鳥たちに、一片の肉も残さず食べられてしまったのだ…。
「ちょっとぉ!
研究しようと思ったから殺さないで捕獲しようとしてたのにぃ!」
フェールは怒ったが、ミスハは、
「ええのよ鳥さん、食べてくれて助かったわ」
ペシリ、とフェールの頭を叩きながらピクシーを褒めた。
その頃、獅子奮迅の戦いを続けていたウラガスミとゴカイ小僧の横に、やる事のない二人が現れた。
「さっきから何を遊んでいるのだ?」
僕はキィ、と、
「遊んでないよ!」
と、猛抗議した。
サトノホマレがエネルギーを蓄え、マイクロウェーブで自在に操っているのを、必死に石を撃ちながら教えた。
「なんだ。
そんなことか。
そーゆー広範囲の捜索なら私とリーケムフが得意だから、手を貸そう」
言うとヴィーべからは黄色い光が、リーケムフからは茶色い煙が現れると、街を包みこんだ。
まるで爆竹を束で破裂させたような音が街中で鳴り響き、光と霧が晴れたとき、
「よし、全て完了した」
ヴィーべは無表情に頷いた。
その頃ー。
基地の地上の土が盛り上がると、かなり老けた顔のサトノホマレが、ムクリ、と立ち上がった。
ムハハハハ!
大いに笑い。
「魔王などと言っても、やはりただの子供よ。
五つの分身、と言えば馬鹿正直に五つを探す。
そもそも本命はワシだから、五つの分身と言ったのにな…」
泥を叩くサトノホマレだが、微かな気配に気がついた。
武士が足音を忍ばせるとき、草履を脱いで裸足となる。
それでも武芸を知らぬ者が歩いたのなら、気配までは隠しようもないが…。
相手は、この世界一の侍だった。
「それだから、ワシのようなものがいるのだよ、サトノホマレ、いや邪教者スイゲィよ」
ギクリ、と振り返った場所に、何百年も前に見慣れた巨大な骨格の、縦にも横にもガッツリと肉を蓄えた、しかし脂肪など必要量しか残さない漢の姿があった。
「だがな。
お前の企みを見抜いたのは、その子供、ワシの弟と同じ元服前の前髪の童、ウラガスミ魔王なのだ。
お主なら、きっと自分をたぶらかすから、と、このジュウ千人をワシにつけてくれたのじゃ」
足音を立てぬ漢の背後には、千人の四足歩行の勇者が、邪教者を睨みつけていた。
「くそっ、元魔王か。
間抜けにもゾラに暗殺されておいて、どの面下げて偉そうに語る?
お前など、ふんぞり返っていただけだろう。
カゲユが死んだら、あっという間に暗殺されたくせに」
勝之信の目が鋭く光った。
「そうだ。
確かにワシは無能な魔王だったさ。
カゲユの敵さえ取れなかった。
ウラガスミに用意してもらわなければ、な」
サトノホマレ、いや本名スイゲェは薄く笑い。
「あんたが邪教と呼んだものを味わってみるかね?」
素早く片手を差し向けるが…。
その時には、勝之信の剣が一閃していた。




