マイクロウェーブ発生装置
「現在見つかっているマイクロウェーブ発生装置の数は五百三十!
今見つかって五百三二!」
ピットを出せば出すほど発生装置は見つかる感じだ。
「数えても仕方ないよ!
破壊しよう!」
僕はユース君に話して、スリングショットを構えた。
無論魔法でも対応できるのだが、何百ものピクシーたちが飛び回っている状況では同士討ちの危険もある。
スリングショットで機械を撃つのが一番安全だった。
僕は特定されている発生装置を右から順に撃ち抜いていった。
五百発撃つと言うのは、中々の筋トレ案件になりそうだが、疲れたら別に非爆発系の魔法に切り替えればいい。
僕は自慢だが狙いは決して外さないので、マイクロウェーブ発生装置を次々を破壊していった。
ただし装置には地下に設置されたものもある。
これは流石にスリングショットでは狙いづらい。
「おーい、ゴカイ小僧、ちょっとこっち手伝って!」
ゴカイ小僧を呼んで、ドリルゴカイで破壊してもらう。
手分けをすると、ノルマは一気に半分だから、僕も楽になる。
ガバっと石袋から丸い石を持てるだけ取り出すと、親指を使って一発づつ取り出し、マシンガンのように連発する。
それでも全弾命中してるから、短時間で発生装置は二百まで減少した。
だが、
「二百五十五、三百…」
装置は次々に見つかる。
反撃こそ無いものの、無限に続く装置発見には、次第にうんざりしてくる。
石袋に新たに丸石を構成し、僕は連発を続けた。
都市が都市として機能していたのなら、なるほど非常電源は万全にしておくべきかもしれない。
しかし、元のエネルギーが、都市の真下のカゲユさんだ。
この無限エネルギーを供給するのに、これほどの装置が必要だろうか?
それともここは、僕らと戦うための、いわば内部引込み型の要塞なのだろうか?
世界的に主流の要塞は、頑強な城壁に守られて、有利に戦う、というものだが、日本の城は、あえて敵を内部に招き、そこで殲滅する、という思想がある。
姫路城などは現代でも、案内板がなかったら、到底目の前の天守に辿り着けない迷路のような構造で、引き入れて、四方から攻撃する、ような罠が何重にも張り巡らされていた。
僕はホテル姫路城を作ったから、そういうことに詳しくなった。
だから、ただの壁が長いだけの単純なものを城と呼ぶことには、やや疑問がある。
思想が単純過ぎるのだ。
万里の長城など、一部素人が壊して畑にしたりしてるらしい。
その程度のものを城と呼べるのかは、個人的には疑問だ。
それに比べれば、構造は普通の都市であるものの、そのどんな位置にでもマイクロウェーブでエネルギーを送れる、というのは、なかなかしぶとい思想だと言えた。
仲間を増やせば、装置破壊もはかどるが、するとサトノホマレの頭脳を乗せたクリーチャーが逃げてしまう、というのも、上手い作戦であり、僕らはまんまと奴の手の平で踊らされていた。
特に青い炎は、ほんとに人をおちょくった、悪意ある敵だった。
逃げ回るのに専念させ、しかも逃がせばすなわちサトノホマレの逃亡に他ならない、という悪質な罠だ。
僕とゴカイ小僧は無言で装置を破壊していくが、新しく発見されるマイクロウェーブ発生装置の数も多く、破壊数はあまり減らなかった。
一方、青い炎は相変わらず逃げ回る。
弾に当っても、炎だからか、素通りしてしまうようだ。
強い攻撃を加えられればいいのだが、逃げられては僕らの敗北なので、天井をマグナ三姉妹が守っているから、あまり無茶な攻撃もできない。
フェール君たちはドラゴンと盛大に戦っているが、どうも再生能力があるようで、向こうも困ってる感じだ。
それらの原因は間違いなく、今もエネルギーを供給し続けるマイクロウェーブ発生装置にあるのは明白だから、なんとか早急に倒したいのだが、どうも装置は街中に配備されており、僕らはビットを生産するごとに遠くの装置を発見し続けていた。
「きりがないぞ、ウラガスミ!」
ゴカイ小僧も、乗っているゴカイがずいぶん小さくなっていた。
別に壊されてはいないので、後で帰ってくるのだが、回収が追いつかない程の連射を続けているのだ。
攻撃ビットでも作ればいいのだが、まず発見しないと始まらないし、ならマジックでクリーチャーを作ればいいが、青い炎の攻撃に邪魔にならないようするのは、なかなか面倒だ。
とはいえ反撃がある訳ではないので、時間をかけて装置を潰せば、やがては敵はエネルギーを枯渇するはずだ。
「もう一息だよ、ゴカイ小僧!」
僕は励ましながらスリングショットを打ち続けた。
「発生装置が百六五…」
よし、成果が見えてきた!
「二百十…」
うーん、まだまだか。
しかし、見つからないより見つけたほうが前進しているのは確かなので、僕らは確かにゴールに近づいてはいた。
都市は広いが、そうは言ってもマイラとそんなに変わらない。
東京で言えば秋葉原とか原宿、みたいな、数時間で歩けるほどの範囲なのだ。
いかに大量にマイクロウェーブ発生装置を作ろうと、僕とゴカイ小僧がマシンガンのようなスピードで破壊していれば、いずれは破壊し尽くせるのは間違いなかった。
「もう少しだよ、ゴカイ小僧!」
僕は目元の汗も拭かずに、スリングショットを連射し続けていた。




