青い炎
天井の敵を倒した僕とチャオン、牛雄は下で大騒ぎをしている仲間たちを見つけた。
ピクシーやゴカイ小僧、マグナ三姉妹も加わっているが、どうもテレポートする青い炎が捕まらないらしい。
ヴィーべさんやリーケムフは傍観しているが、あの二人が参加したら都市の全てが廃墟と化すので英断だろう。
ケンビシたちも傍観しているが、あれはおそらく作戦を練っている。
カメレオン勇者隊はいないし、ゼアさんはライフルを構えている。
ミラとイラは、ポチとタマと会話し、青い炎の居場所を探っているらしい。
本来ならユース君が青い炎の居場所を見つけて、上手く誘導すべきなんだろうけど、何故かユース君は西の方角にフラフラと進んでいた。
状況は見えないけど、さしあたって青い炎は逃げるだけで、だがら皆は、鬼ごっこを空中でしているようなものだ。
一方、地面では巨大なドラゴンとフェール君たちが戦っていた。
ここもミズハもいるし、フェール君はブラックホールも出せるので、任せて構わないだろう。
状況が判らないのはユース君だ。
単独行動は危険だし、何よりユース君は、キーボードを操りながら進んでいて、歩きスマホのように危なっかしい。
スーツにそれなりにメカニズムはあるのだろうが、僕は一番気になったところに向かうことにした。
「ユース君?
どうしたの?」
僕が上空から聞くと、ユース君はキーボードに夢中になりながら。
「サトノホマレはエネルギーを隠しているんだ…。
微かな電波を捉えたんだ…」
あー、なるほど。
本体はやっつけたはずなのに五体の分身が暴れまくっているのはそーゆーことか。
僕もピットを増産して、周りを探った。
しばらく手間取ったが、マリンの努力もあり、微弱な電波をビットも捉えた。
が…。
「ユース君、この電波、場所が動いているよ?」
「本当だ!」
ユース君はスーツの機能で探っていたので判らなかったが、ビットが電波を捉えると、観測点が何千にもなるため、位置は容易に特定できる。
だけど、何故かその位置が、地表、地下、空中の区別なく、フラフラと移動しているのだ。
「ウラガスミ、たぶんこれはマイクロウェーブを複数箇所から照射して、その結合点が電波を発してる、と思うよ」
と、マリン。
「え、マリン、そのマイクロウェーブは捕捉できないの?」
「マイクロウェーブの一本一本は、レーザー光線のように細くて直線的に進むものだから、上空のツグミが使えない地下だと、発見は難しいね。
でもビットを増産していけば、感知する確率は大きくなるよ」
流石にサトノホマレ。
やることが面倒くさい。
上司にしたく無い奴ベスト一は揺らぎようがない。
僕は、やけになってビット発生装置を構成して、大量増産を始めた。
一方のユリイカたちは、ピクシーやゴカイ小僧、マグナ三姉妹やグラーノさんまで加わって、大騒ぎをしていた。
下から見ているケンビシや、ポチとタマの感知能力を持つケンビシ隊が一番、居場所は見つけやすいので、右だ左だ、と指示は出しているのだが、敵はただ逃げればいいので、どうにも捕まえにくい。
しかもテレポートも持っていて、追い詰めれば、ひょい、と位置を変えてしまう。
「なあ、あれ、別に攻撃する訳じゃないし、追いかけなくてもよくね?」
カノッサがウンパパに言うが。
「あれは腐ってもサトノホマレの一部だ。
放置すればこの戦いの意味が無くなる。
だからアホみたいでも、捕まえて潰す必要があるんだ」
ライフルを構えたままのゼアが教えた。
とはいえ、テレポート持ちに逃げに徹されているとなると、攻撃は困難を極める。
「おーい!」
ケンビシが叫んだ。
「上のウラガスミは降りてきたから、皆、接近せずに下から狙撃をした方が、良くないか?」
一理ある、とユリイカは思ったが、マグナ三姉妹のアナが、
「だめだよ。
それじゃ敵は上に逃げちゃうよ!」
なるほど逃げられないための戦いなので、逃走経路を開けるのは下策かもしれない。
とはいえ、いつまでも空中運動会を続けていては、むしろ味方の疲弊が大きくなる一方だ。
「あ、そうだ!
あたしたちはバリアが張れるから、上を抑えるよ!」
とリズは閃いた。
三人は三位一体の力でバリアを張り、天井部を見張る。
そして下から距離を取って、青い炎を狙い撃つ、という訳だ。
「よし、いいぞ!
マグナ三姉妹、少しの間、耐えてくれ!」
ケンビシの言葉に三姉妹は頷く。
皆は距離を取って、炎に遠距離攻撃を加えた。
だが青い炎はサトノホマレの知性を持っている。
す、と遥か上空まで浮かぶと、フラフラと不規則に飛び回った。
ロングレンジの射撃で、速度も動きも予測不能に動く相手を狙い撃つのは至難の技だ。
そして無人の都市上空は果てしなく広い。
射撃の名手ゼアでも、掠りはしても、なかなか敵を倒すに至るダメージは与えられなかった。
さらに、範囲の広い強い攻撃は、流石にマグナ三姉妹がいると判った上では使いにくかった。
青い炎は、せせら笑うように上空を楽しそうに飛び回っていた。




