黒い絨毯
僕は五頭さんにカゲユさんを預けると、テレポートで仲間の元に戻った。
と、思ったら、なんか高層ビルの大きさのロボットが暴れまくっていた。
ロボットは、辺りのビルを引き抜くと、イチロー並みのレーザービームで投げてユリイカを落とそうとしている。
ユリイカは回避しながら超巨大ロボットを砂にしようとするが、デカ過ぎて、肩の一部を削っただけだった。
アンザスの巨大蜘蛛たちが糸を吐き、動きを鈍らそうとしているが、小蜘蛛が人間にぶら下がるみたいになっている。
ソーニャさんのスーパーソファがありったけのミサイルを撃ち込むが、どういうわけかロボットには傷もつかない。
「マリン、あれ、なんか魔法でもかかってるの?」
僕は聞くが。
「うーん、特にあのロボット自体に魔法がかかってる感じはないけどなぁ…。
でも、あの巨体にしては敏捷だし、攻撃は効かないし、少し謎が多いね…」
僕は、今までは仲間各自にプログラム改変銃を配っていたが、もはやそんな事態ではなくなった。
全てのロボットのプログラムをマジックで改変し、更にビーム銃を配布した。
十万規模のロボット軍隊がビームを巨大メカ目掛けて発射する。
これには流石に…、効くと思ったが、思うほどの効果はない。
大怪獣VS自衛隊、って感じで時間稼ぎにもならなさそうだ。
「ウラガスミ。
攻撃を右足に集中しよう!」
タオの提案で、僕らは巨大メカロボットの右足に全ての攻撃を集中させた。
巨大ロボットの右足はタオの火炎とビーム、ソーニャさんのミサイル、マグナ三姉妹の放電、更にスノーマンは氷の攻撃、ゼアの光子弾、ユース君のユースビームなどを一気に浴びるが、熱を持って赤くなる以上のダメージはなさそうだった。
「あれ、絶対おかしいよ!」
僕は逆ギレする。
「魔王、思い出すんだ!」
と五頭さん。
「そもそもここは、サトノホマレの作った地下空間。
その全てに魔法がかけてあるとしたらどうだ?」
「なっ!
そんな広範囲に?」
「だが、君がカゲユ君をこちらに送ったことで、あのロボットのパワーは何分の一かに落ちている」
あれで、何分の一なのか…。
先にカゲユさんを切り離して正解だった。
さもなければ、僕らは全滅していたかもしれない。
うーん、とにかく、動きが敏捷なのが特にヤバかった。
何か動きを抑える手でもないものか?
マリンに聞くと、
「君は魔王なんだから、イメージを魔法で具体化出来るよ」
なるほど…。
それじゃあ…。
僕は、巨大な手をマジックで出現させた。
あのロボットの動きを手で抑えるのだ!
ズズズズ…。
地面を滑り、高層ビルと同じ大きさの手が巨大ロボットに掴みかかった。
が、ロボはひらり、と手を交わす。
コナクソ!
僕は二本目の手を作った。
ズズズズ…。
左右から挟み撃ちにし、ロボットを抑えることに成功した。
「魔王。
さっき奪ったプロトロン光線砲があったよね?」
とフェール君。
ああ、と僕はどでかいビーム砲をマキアから戻した。
「でも、エネルギーはどうするの?」
僕が聞くと、五頭さんが。
「カゲユ君のエネルギーを使えるぞ」
おー、コーヒーを頼んだら餡トーストまでついてくる名古屋の喫茶店のように至れり尽くせりだ!
「それじゃあロボット君たち、プロトロン光線砲を設置して」
レンジ君たちは実務能力に優れており、無論清掃や料理用のロボットとして市販されているのだが、この基地用に機械設置プログラムもしっかり入っている。
万単位のロボットが一糸乱れぬ統制とロボットゆえの勤勉さで働き、数分で光線砲は頑強なビルの上に設置された。
「よーし標準合わせ!」
僕はノッてロボット君たちに指示をする。
「おい、ウラガスミ。
あのロボットの中にはリーケムフとパピーたちが入ってるぞ」
ヴィーべさんが教えてくれた。
あ、そうだ。
元々は塔だったから、探りにテレボートさせたのは僕だった。
「パピー、フンボルトさん、リーケムフ、塔がロボットに変化して暴れるから、外に出て。
君たちがいると人質取られてるみたいになっちゃうから」
テレパシーで連絡すると…。
「マズいよー!
ウラガスミ!
黒い絨毯が僕らを襲ってくるんだぁ!」
え、あのパピーの悲鳴なんて初めて聞いた。
「え、パピー、オバケも敵わないの?」
「もちろんオバケは死なないんだけど、噛みつかれたら痛いんだよぉ!」
「え、絨毯が噛みつくの?」
なんとなくファンタジーな空飛ぶ絨毯と思ったら、口があるらしい。
「凄く好戦的な蟻なのだよウラガスミ!」
フンボルトさんもパニックに近い叫びで説明してくれた。
「やだわー、この子達、服の中まで入ってきちゃうのよ!」
「えー!
リーケムフさんでも蟻に敵わないんですか?」
「闇の力に怯えず、ひたすら襲ってくる知性なき大集団は対処に困るのよ~!」
三人とも不死の仲間なのだが、パピーは痛くて、リーケムフは服の中まで入ってくるので困るみたいだ。
蟻か…。
確かに絨毯というほど膨大な蟻は、なかなか手強そうだ。
僕は、うーん、と考え込み、そして思いついた。




