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記憶喪失のボッチ冒険者  作者: 六青ゆーせー
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地下空間へ

僕は、クリスタのバリアに守られながら。


「ヴィーべさん、ゴカイ小僧、チャオン、テレポートするので塔を攻撃してください」


三人を塔の三方、ヒューリーやアイアンバードのいないところに飛ばした。


「タマコ、塔の中に忍び込んで、中を探って」


タマコが僕の中から出てきて、


「承知…」


呟くと、ヒュ、と消えた。


「リーケムフさん、たぶん地下に塔の動力があると思うんですけど、探して破壊していただけますか?」


「判ったわ」


リーケムフが、黒い煙になって消えた。


さて、僕は、攻撃している仲間を守りながら支援魔法を使わないといけない。


僕の頭には人工知能ピーターと、遥か宇宙からいつでも僕と周りの国々を見てくれているツグミ、それにマリンを経由して無数の超小型ピットからの情報がもたらされているので、ビームの集中砲火の中でもみんなの動きは確認できる。


しかしチャオンも、ゴカイ小僧もヴィーべさんも、支援などしなくとも、カノン程度の攻撃はヒラヒラ交わして、ビーム砲を破壊していく。


そして激しい戦闘の音と煙は、この上もない狼煙となって他の勇者たちを呼び寄せていた。


ユース君とユリイカ、ニィーゴとソーニャ、タオ組は、ほぼ同時に飛んでくるし、少し遅れてパピーたちやマグナ三姉妹、フェール君たちや、その後を地上から進むケンビシ隊も確認できる。


いよいよ最後の戦いだ。


「月光。

それでカゲユさんがいる場所は見つかった?」


僕が聞くと。


「もちろんです。

この塔の地下、三百メートルにカプセルに入れられ、今も力を吸われています」


まず、ここをどうにかしないといけない。


「ユース君たちはゴカイ小僧と変わって。

ソーニャさんたちはチャオンと交代。

パピーたちはタマコのところに送るから、引き継いで中を探って。


ゴカイ小僧、チャオン、タマコが戻ったら、僕らは月光と合流して地下三百メートルに乗り込むよ。


ケンビシは塔攻撃の指揮を。


マグナ三姉妹、フェール君たちはケンビシを補佐して」


さすが精鋭、一糸乱れぬ行動で持ち場の交換はすぐに完了した。


「じゃあ、必ずカゲユさんを助けてくるからね!」


僕は皆に言って、地下へテレポートした。






ピュン。


空気が変わるのか、鼓膜に微かな風の音が囁く。


そこは、想像を超えた巨大な、まるで工場のような場所だった。


アークライトと言うのだろうか、暗いオレンジ色の光に浮かび上がるのは図太いH鋼の骨組みに、無数の機械が剥き出しで張り巡らされた、巨大地下空間だった。


無数の太いパイプが、まるで血管のように鉄骨の都市の隅々に張り巡らされている。


ブシュー、と白煙が時折上がる。


まさか蒸気機関なのか?

判らないが、臭いは無いから蒸気なのは間違いないようだ。


そのせいもあるのか、または地下水のせいか、湿度が凄い。


気温も、初夏というぐらいには暑い感じだ。


相変わらずレンジ君型ロボットやエッグ君型、はたまた重機に近いようなロボットが沢山動き回っている。


僕らは素早くプログラム改変銃で近くのロボットを味方にした。


「ああ。

高エネルギー体の名称が確か、カゲユでしたな」


エッグ君よりゴツい感じのロボットが教えてくれた。


「こちらですじゃ」


手摺など無い鉄骨の道を、ロボットは平気で歩いていく。


僕は、飛べるのに、足場三十センチの鉄骨を歩くのは怖かった。


機械の稼働音が、周り中から聞こえてくる。


電気配線らしきビィ…という微かな唸りから、ゴゥンゴゥンという重たい金属の稼働音。


パイプにゴボゴボと液体の流れる音や、不意に響くガチャンとかバン、とか機械の動く音も混ざり、閉鎖された地下空間は、獣の唸りのような音が、常に響いていた。


ゴツいロボットは数十センチの階段を下り、機械の内部に入っていく。


内部は、ところどころ赤みを帯びた照明に照らされ、どこか生き物の体内を連想させる、狭くて入り組んだ場所だった。


昆虫のような足をした、短い胴体から無数のアームを伸ばした、かなりキモいロボットが、何体も歩いていた。


彼らは、壁面でも平気で移動できるようだ。


「奴らは、ここの機械のメンテナンス以外、なんの関心も無いのですじゃ」


一応マリンが調べてみるが、確かに侵入者など知ったことではない、ようだ。


この内部通路でも、無数のパイプが天井や床下(金網になってる)に走り、時折、ゴボゴボと音を立てて内部に液体が流れていく。


何の液体が流れているのか聞いてみると。


「中央の水槽の高エネルギー体は生きているため、片時も休まず培養液を流し、そして濾過清掃をして新たな培養液にしなければならず、ここの装置の殆どはそのためにある、とのことだ。


「え、カゲユさんは生きているの!」


ロボットはカタカタと顎を震わすように笑い、


「細胞としては、生きとりますじゃ」


細胞としては、か…。


かなり残酷な絵面を、僕らは見ることになりそうだった。


腸のように曲がりくねった通路を進んだ先に、驚くほど巨大な水槽が、あった。


「こ…これが、カゲユさん…?」


僕は唸った。

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