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記憶喪失のボッチ冒険者  作者: 六青ゆーせー
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最後の塔

「フンボルトさん、迷路は平気だったのかい?」


パピーが驚きながら聞いた。

壁抜けができない割には吸血鬼は早業だった。


「なに。

下から登れば迷路らしいが、吾輩は上から降りたからな。

すぐに魔道士を発見したよ」


どうやら魔道士は、最上階は安全と考えていたようだ。


フンボルトは、果実の汁でも吸うように、生首を吸った。


シワだらけの老人の顔が、ドライフルーツのように半分になる。


吸うだけ吸うとフンボルトは興味を失い、頭をポイ、と背後に投げ捨て、紳士らしくハンカチで口を拭った。





ヴィーべとリーケムフも都市の中央をゆうゆうと進んでいたが、やがて奥に他を圧する巨大な塔が現れた。


「どうやら、ここが魔道士の住処のようだな」


ヴィーべたちはロボットは連れていなかったが、必要な情報はマリンから送られていた。


塔はかなりの重武装のうえ、バリアに守られているようだった。


「どうする?

なかなか手強そうよ」


リーケムフは、さほど脅威を感じているわけでもない口調で聞いた。


「バリアが無ければ正面から破壊するのだがな」


バリアは、発動しないとどういう性質の防衛機能が発動するのか判らない。


ただの壁ならいいが、触れた相手を攻撃する要素を持っている場合の方が多い。

敵の数が減れば、守備側に有利だからだ。

あまり軽率に接近したくなかった。


「闇の力で壊しちゃいましょうか?」


「うーん…」


ヴィーべは生返事を返した。

闇の力は凄まじ過ぎて、辺り一帯が大変なことになる。


今、ウラガスミをはじめ仲間たちが、この塔に近づいて来ていた。

このタイミングで闇の力は、むしろ仲間にダメージがありそうだ。


彼らなら、なんとかするだろうが、それよりは早く合流した方が攻めやすい。


だが、一番乗りしたのに何もしない、というのも呑気に過ぎる。


「仕方ない。

私が眷属を出そう」


ヴィーべは多くの眷属を抱えていたが、自身、戦うのが好きだしウラガスミ少年も弱そうなのに頑張っていて好感は持てる。


なので自ら戦いに身を投じていた。


「こんなものかな…?」


ヴィーべが頭上に手を差し伸べると、手は空中に差し込まれる。

一種のマキアを、ヴィーべも持っているのだ。


取り出した眷属は、頑丈なアイアンバードだ。


鉄とはいうが、別にロボットではない。

鉄のように固く頑丈な、かなり強力な防御力を持つ鳥の精霊だった。


「ゆけ!

アイアンバード!」


何もない空中から十メートルを超える黒光りする巨鳥を引き抜くように取り出すと、そのまま放った。


アイアンバードは鋭く透き通った叫びを上げると、巨大な塔に突っ込んだ。


だが…!


塔まで数十メートル、という場所で、アイアンバードは不意に空中に止まってしまった。


「何か見えない網のようなバリアのようだな」


ヴィーべが唸った。


アイアンバードは持ち前の防御力で、なんとか拘束から逃れようと暴れまわるが、アイアンバードの周囲では激しい火花が吹き出ている。


「これはなかなか難敵だな」


ヴィーべが考え込んだ時。


「あ、ヴィーべさん!」


ウラガスミとゴカイ小僧が到着した。


リーケムフがバリアの事を教える。


「そうですか」


平然とウラガスミは答え、


「ゴカイ小僧、地下は通れないか、ゴカイを放ってくれないかな?」


「任しとけ!」


すっかりカゲユの仇を打ち、自信をつけたゴカイ小僧は、頼もしく頷くとゴカイを地面に撃ち込んだ。


四人とチャオンは固唾を飲んでゴカイ小僧を見守った。


牛雄は、大きな欠伸をして眠ってしまった。


「駄目だな…。

鳥と同じくらいで、先に進めなくなった…」


ゴカイ小僧が、淡々と報告した。


「うーん、このバリアは強力ですね…」


ウラガスミは唸るが…。


「鳥とゴカイはテレポートで中に入れます」


言うと同時にアイアンバードがバリアを抜けた。


敵の塔は、根本から上の壁まで、ビーム砲が剣山のように突き出ていた。


それが、アイアンバードに攻撃を始める。


四方八方からの集中砲火だ。


「マリン、ビームって反射とかできないの?」


ウラガスミが問うと、空中から声がした。


「ビームコーティングで標的をずらすことはできるけど、もし、あの鳥の攻撃もビームなら、それもズレちゃうよ」


ヴィーべが。


アイアンバードの武器は鋭いクチバシと爪だ」


教えた。


ウラガスミはすぐにアイアンバードにビームコーティングの魔法をかけた。


ビームはアイアンバードからそれてバリアに当たって爆発する。


「に、しても多勢に無勢だよね」


当たらないにしても、あらゆる場所からの攻撃に、アイアンバードの動きも鈍らざるを得ない。


ウラガスミは、ぽんと手を打ち、


「そうだ。

生ける水ビューラーを飼ってたんだ!」


言うと、マキアからビューラーを呼び出し、バリアの奥にテレポートさせた。


水はビームを屈折させ、ダメージを与えない。


そしてビューラーがビーム砲に接触すると、加熱のせいか、防水に甘さがあったのか、砲は爆発したり、沈黙したりした。


敵は慌ててバリアを切り、ヴィーべたちに攻撃を切り替えた。


が、ウラガスミには魔王用防御兵器クリスタがある。

周りにいたヴィーべたちも、完璧にバリアから守られた。



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