表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶喪失のボッチ冒険者  作者: 六青ゆーせー
816/836

ユースの戦い

ミズハの両肩に浮いたスーパーノヴァが、ガッと唸り、2条の光線を老人の一体に発射する。


だが、敵は老人とは思えない敏捷さでビームを避け、火炎弾をミズハに撃ち込んだ。


「水の盾!」


ミズハのブレスレットには水の盾が組み込まれている。

それでミズハは火炎弾を防いだ。


フェールは真横に走って行く。


逃がすまい、と三人の老人が火炎弾を発射した。


「待ってたよ!」


フェールはスーパーノヴァだけを後ろに向け、火炎弾めがけて二門のビーム砲を発射した。


スーパーノヴァは、二つのビーム砲の角度次第で、様々な撃ち方の出来る武器だ。


三つの火炎弾を飲み込み、ビームはそこから大きくカーブして一番端の老人に命中した。


ミズハは、水の盾を使いながら老人たちに接近し、いよいよ拳の戦いを挑もうとしていた。


老人の一人が火炎弾を撃つ。


ミズハは、さらりと水に体を変えて、手近な相手を覆い尽くした。


ガボッ!


不意に水に覆われた男は、息を貯める準備も無しに、思いっきり肺に水を吸い込んでしまった。


普通に水に飛び込むのならそれなりに泳げる人間も、急に水を呼吸器に入れてしまえば一瞬で窒息の危機になる。


周りの二人も、仲間に火炎弾も撃ち込めず、途方に暮れた。






フェールは、水を操るミズハの弟であり、自身、風を操る能力を持つ。


ただし、生来の知能のため、おおよそその力を使わないだけだ。


フェールを狙った三人の火炎弾は、なにもない焼け野原を弾けさせた。


自身を風に変えたフェールは、そのまま最も遠い老人の喉笛を、風の刃で切断した。


水に、海流のような層があるように、空気にも層があり、特殊な強風の層が、互いに逆の方向に走ったとき、カマイタチと呼ばれる自然現象が起こる。


これは建物や木立のような、一定の硬さを持つものは傷つけないが、人の皮膚のような、極めて柔らかく、何も覆っていないものは、容易く引き裂く。


老人が動脈を切断され、即死する間に、フェールは手前の人間の腹に拳を撃ち込んだ。


神細胞を肉体に宿したフェールのパンチは、大の大人も吹き飛ばすが、今のパンチの目的は、接触状態でブラックホールを作ることだった。


きゅん、と一瞬の風音を残し、パンチを撃たれた老人が消えた。


フェールの敵は全て死亡し、ミズハも二人目に襲いかかる。


「勇者隊、稲妻の化身となり、塔の中の老人と、ミズハ姉ちゃんの敵を遠隔攻撃!」


稲妻が走り、二人の老人が吹き飛んだ。


同時に、ミズハとフェールの魔力を封じていた呪いも、消えた。





ユースとユリイカが進んでいたのは町の東側だった。


ユースはプログラム変更ウィルスさえ手にすれば、銃など使わなくても周りのロボット全てを書き換えられるので、エアブラインドタッチをしながら空中を進んで行く。


ユースが遊んでくれないので退屈なユリイカは、猫が気まぐれに部屋を荒らすように、あちこちのビルを砂にしながら、どんどん膨らんでいくユース軍団の上を気だるげに飛んでいた。


「ユース様、そろそろ悪の魔道士の塔があります!」


ユースのゴーグルに地図が現れ、地点が示された。


「ユリイカ。

あと五百メートルだよ」


「ふーん」


すっかりスネていたユリイカは、


「あたし、ちょっとヤル気が出ないのよね。

ユース、やってくれる?」


うっそりと言った。


ユースもユリイカとは長い付き合いなので、


「ん、判った…」


と軽く呟く。


せっかく大量のロボットが味方についたのだから、別にユースが先陣を切るまでもない。


ウラガスミから支給されたプログラム改変銃を改良してレーザー銃にし、ロボットたちに配ると、魔道士の三角錐の塔に一斉攻撃を仕掛けた。


が、魔道士はすかさずバリアを張り巡らす。


「ユース様、バリアです!」


「ん、平気平気。

すぐ無力化するから」


エアキーボードでブラインドタッチをし、バリアの発生装置を特定すると、配線に過電圧をかけ、破壊した。


レーザー自体はライフルタイプの小型のものだが、何しろ、今もロボットは増え続け、万に近くなっていたので、光線の性質上、集まれば集まるほど大出力の砲に近い破壊力を持つ。


やがて入口の扉が、破裂しながら中に開いた。


「愚かなマイラの勇者ども。

扉が開いたことを、すぐに後悔させてやる…」


女性的な声と共に、扉からあふれる程の何かが飛び出してきた。


それらは道で扇状に広がった。


蛇だ。

人間ほどの長さのある、蛇の群れがロボット軍団に襲いかかった。


「へー、生きている蛇のようだね。

そして毒があるみたい」


他人事のようにユースは言う。


ロボットに毒蛇など意味がないし、ユースは高性能なスーツに守られていた。


第一、ユースもユリイカも空中なのだ。

地を這うヘビなど動物園で鑑賞しているようなものだった。


が…。


ヘビたちは、魔法の力か、不意に浮き上がるとミサイルのごとくユースとユリイカを狙って飛んできた。


「迎撃の電撃!」


ユースはより早く、キーボードを連打する。


ヘビたちはユースやユリイカに近づくと、高圧電力で焼き切られた。


その間もロボットたちの攻撃により、塔は側面が爆発した。


「おのれ、目にもの見せてやる!」


女性的な声が怒声を上げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ