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いつもの、ギルド隣の食堂に行った。
他にも、小さな食堂やハヌマーンのレストランもあるのだが、なんか一人では行きずらい。
ちょっと入り口から中を覗くだけで、ガヤガヤ楽しそうな声が聞こえてくると、どーしても、そこから一歩、進むのが難しくなってしまうのだ。本日のお勧めはドーブ焼き。
タルカには、前に美味しかったチーズをトッピングした。
トマトと豆の煮物タルカは、この世界の主食で、特にチーズを握りこぶしぐらい、たっぷりかけると、トロトロ感が癖になる。
今日は、それにドーブ焼き、という、どうやら焼いた肉の塊がついている。
ナイフで切って食べると…、肉だ!
少し、食べ馴れない臭みもあるけど、圧倒的に肉だった。
そうそう。
こうやって口一杯に肉を頬張ると、よく家族で焼肉を食べに行った事を思い出すなぁ。
あの懐かしい狭い露地は、どこだったかなぁ。
いつも行く、あの焼肉屋さんで父さんはショーチュウ、母さんはビール、僕と兄さんは、ひたすら肉を食べていた。
考えてみると、家族で行くのは、大抵、あの商店街だった。
秋葉原に行くようになったのは中学校に上がった頃かな。
兄さんと自転車でゲームを買いに行ったんだ。
兄さんが自転車から振り向いて僕に言う。
「カスミ。
自動車に気をつけろよ」
僕は、お一人様のカウンター席で、雷に打たれたように、動きを止めた。
「僕は…、ウラノ…、カスミ…」
そうだ!
僕は台東一中の、ウラノ、カスミだった!
部活は書道部、体育は頑張って三で、勉強は中の中。
喧嘩は弱い。
あ…、あれ。
僕って、本当に、予想以上に残念な身体能力だった事に、今、気がついた。




