守護者
判らない話ではない。
日本人の僕は、メルトダウンの恐ろしさも聞いているし、どんなに安全だと言われても、自然災害の前では、人間の技術など無力なのだ。
僕が、そう言うと、イザベラは静かに笑った。
「確かに、大規模な災害に、人工物は破壊されます。
しかしウラガスミ、例えば、大陸の地形自体は、プレート上を動くため、位置関係は変わっても、それほど大きく変わっていない、ことは知りませんか?
この世界ではノース大陸はプレートを移動し、アリア大陸と一つになりましたが、大陸内の地形までは大きく変わってはいません。
つまり、地形的に安定した場所では、核融合炉も安全に維持出来るのです。
もちろん、このイザベラとシャーレの森は、地下数百メートルまで完全に一体化して作られ、震度十の地震にも耐えられるよう作られています。
何より…。
百二十年程前に、この地方で起こった戦争では、もちろんイザベラも格好の攻撃目標になりましたが、ご覧の通り、外壁が黒く汚れた他は、なんの被害も受けておりません」
「しかし、マイラの町では、このイザベラは廃墟と思っているようですが…」
イザベラは笑い。
「そう思わせるのが戦争終結への近道、と判断したのです。
送電をストップし、我々は沈黙しました。
計画通りに戦争は終わり、今の世があると言う訳です。
しかし、私たちは待っていたのです。
新しい我々の管理者を。
あなたは、あなたが、この世界で自分の真実を見つけるため、自由に、このイザベラを使えば良いのですよ、ウラガスミ」
「え、でも、そんな勝手なことしちゃつて良いのかなぁ…」
僕は迷った。
「勝手なことをしたのは、この世界の住人の方でしょう?
遠慮はいらないのです。
手始めに、あなたは、あなたの手伝いをする三体の守護者を目覚めさせなさい」




