イザベラ
マクルたちが宝を物色している間に、僕はイザベラのマップを調べてみた。
イザベラは三機の核融合炉を中心とした施設だが、炉の上にはコンピュータールームがあった。
もし、これが生きているとすれば、この世界の色々が判るかもしれない。
また、地下は広大なマップが広がっていて、なんとマイラの西に生い茂るシャーレの森まで、地下構は続いていて、その全てを含めれば、ある意味、巨大軍事施設とも言えた。
僕としては、今、直ぐにでも上階8層のコンピュータールームに行きたかったが、マクルたちは連れては行けない。
「へー、何だ、この箱」
マクルが、奥で長方形の箱を見つけた。
僕は、思い出した。
と、言っても二一世紀の記憶ではない。
アズマが僕の頭に入れた大量の情報が、僕の封印された過去と同じように作用するらしい。
あの箱の中に入っているのは変身スライム。
一種のホムンクルスで、何にでも変身出切る他、僕と直接、テレパシーで繋がるスライムだ。
僕はスライムを液化させ、僕の身代わりにした。
「なーんだ、ただの空箱かぁ」
僕は足音を忍ばせイザベラの奥に行き、未発見のエレベーターで八層に登った。
八層の事を、マイラでは何もない空部屋だと思っていた。
だが、ここ、こそはイザベラの頭脳、有機コンピューターなのだ。
イザベラはそもそも、三つの有機コンピューターが、互いに連なり、思考する核融合炉だった。
管理者である僕が入ると、何もないはずの部屋に、薄く光が差し、壁の奥に、人の脳が巨大になった感じの物が現れた。
これが有機コンピューター、イザベラだ。
「ようこそウラガスミ。
私がイザベラです」
イザベラは、語り始めた。