アズマ
どうしよう…。
核融合炉に出入りしているのだから、知的生物、とは思うが、僕のRPG脳が、人の形をしているから友好的、とは限らないと叫んでいた。
「マクル、一旦、逃げようか?」
僕は言うが、
「どうして? 今、逃げちまったら、この発見が奴らのものになっちまうじゃないか?
それより、撃ち殺した方がいいぜ?」
「いやいや、ダメダメ。
デバイスに見られてるよ!」
「デバイスに、そんな機能は無いよ!」
うーん、デバイスにそういう機能があるのかは僕も知らないのだが…。
交戦は色々、マズイ気が…。
だが、茶色い人間の方が、僕たちに気がつき、スタスタと、こちらへ歩いて来た。
その人間は、柱を歩いて核融合炉に近づくと、そこから、ヒョイ、と僕らのいる足場に飛び移り、しかもピョンピョンと一階を一ジャンプで跳び、あ、という間に、僕らの前に立ち塞がった。
僕は言葉を失った。
身長は二メートル以上。
全身は茶色い毛に覆われ、顔は皺だらけだ。
「私はアズマ。
解りますか?」
ポカンと僕はアズマを見上げた。
明らかに怪物だったが、アズマは日本語を話した。
僕は、一瞬、マクルがアズマに殺意を抱いたのを感じた。
なので、慌ててアズマに近づき、握手をしながら話し出した。
我ながら、咄嗟とはいえ、無茶な行動だ。
「僕はウラガスミです。
アズマさん、もしかして、この核融合炉に詳しいのですか?」
怪物アズマは、ギギギと笑った。
「私、アズマは、核融合炉を管理するために作られたホムンクルスです。
現在、この核融合炉、イザベラは待機運転中ですが、管理者コードを入力していただければ、いつでも平常運転に切り替え可能です」




