炉
「マクルは槍のが得意でしょ、使ってみて」
僕はマクルに槍を渡した。
「うおぅ、軽くて使いやすいな!」
アーマナイトは最高級の金属なので、僕の手作りとはいえ、無いよりはましなハズだ。
さらに、リナのために盾を作った。
そして…。
これは、上手くいくか判らなかったのだが、リヌのために弓と、矢を五十本用意した。
アーマナイトの矢なら、繰り返し使えるハズだ。
「この棚の物は、なんだろう?」
鑑定を使って見ると、棚の機械は、鉱石の探査装置、ペンキ缶は穴堀り機、段ボールの中身は、四角い小さなアーマナイトの塊で、鑑定すると、イザベラの廃墟が稼動していた頃に使われていた記録チップのようだった。
だが、このチップを見るための機械は、どうやら、ここには無い。
空の箱はアーマナイトなのでデバイスに保存し、僕たちは奥の部屋に向かってみた。
「うわぁ…」
マクルが声を上げた。
それは、巨大な機械と、その周囲に作られた無数の、床や足場で形作られた、立体迷路のようなものだった。
僕らが立っているのも、機械の途中階に過ぎず、バルコニー状の足場から下を覗くと、地面があるのは、たぶん百メートルぐらい下だった。
鑑定してみると、これは、どうやら発電システム、イザベラの廃墟が生きていた頃の心臓部、ということらしい。
「発電?」
マクルが聞く。
そう。
マイラは水堀で覆われているが、別に戦国時代の城、という訳ではない。
水素エネルギーで町を動かしているのだ。
それに対し、イザベラの廃墟は、どうやら核融合炉を持っているらしい。
しかも鑑定からすると、この炉は最大級の大きさで、しかも、今も熱を出し続けている。
たぶん、これが壊れるまで、炉は、燃え続けるものらしい。