僕は倒れた
「うわあぁぁ!」
まるで別の生き物だ!
はしPは、おぞましい程、大きく口を開け、殆んど顎のバケモノとなって、四脚獣のように手足を使い、僕に噛みつくべく大地を跳んだ!
驚いた僕は、思わず逃げそうになったが、慌てながらもスリングショットを撃ち込んだ。
あらかじめ弾を選び、ワイヤーを持っていたために、最後の一歩、踏み止まって、反撃ができたのだ。
精密動作720のおかげか、弾ははしP の額に命中した。
パン、
と、軽い音を残して、はしP は、弾け跳んだ。
僕は、噛みつき攻撃を用心して、プロテクトシールドのマジックを自分にかけた。
そして地面に落ちた、はしP の、高機能バトルスーツから覗いた首に飛びついた。
「スタンショック!」
僕はマジックを発動させた。
はしP が、仰け反り、空中に弾けた。
だが、今の僕のパワーは780だ。
僕ははしP の首を掴んだまま、背中に回り、裸締めの形に持ち込んだ。
もちろんスタンショックは続けている。
高機能バトルスーツには防電気機能もついているので、素肌の部分に触り続けないとスタンショックが途切れてしまう。
裸締めにしたまま、僕はデバイスに言った。
「3分、カウント開始…」
空中に3:00と数字が浮かび、1秒づつ減っていく。
はしPは暴れた。
物凄い力だ。
パワー721と出ていたが、僕は780のはずなのに、体ごと振り回されてしまう。
地面に叩きつけられ、同時にはしPの首を締め上げている腕を握り締め、力で剥ぎ取りにかかる。
僕は夢中で締め続けた。
やがて、はしPが、ぐわぁ、と叫んだ。
そして、凄い力で腕をねじってきた。
雑巾を絞るように、僕の裸の腕をねじるのだ。
痛い…。
が、プロテクトシールドのおかげもあって、僕は我慢した。
空中の数字が、0:00で止まった。
そのあとも、たぶんマイナス1:00ぐらいになるまで、僕はスタンショックをかけ続けた。
はしPは、動きを止めていた。
僕は、しかし状態確認のマジックをかけた。
ーー死亡ーー
だが、カンセンシャである以上、死亡状態だからといって、安心はできない。
「ウィルスは?」
状態確認のマジック発動時には、こういう質問もできる。
ーー体内ウィルス、死滅ーー
はぁ…。
僕は、荒野に倒れた…。
疲れた…。
そして、凄い怖かった…。