兄の記憶
「大丈夫かな、あのおばさん」
マクルが、ポカン、と呟いた。
そうだよね、僕って、自分の歳も思い出せないんだけど、トムトムとコフィは、僕らから見れば、ちょっとおばさんだよねぇ。
ふと思い立ち、僕は聞いた。
「マクルって何歳?」
「ん、俺?
俺は十五で、リヌは十六、でリナは十四だぞ」
ああ。
やっぱり。
僕、受験生なのを思い出しました。
家、ちょっと貧乏だから、公立に行きたい、と絶賛勉強中でした…。
悲しい現実から目を背けて、僕は笑顔を作った。
「僕も十五なんだ」
「そーか、タメかぁ。
それにしちゃあ、ウラガスミって、細いよな」
マクルは接近戦要員だからか、腕とかも僕より随分太い。
「まー、僕はマジックキャストだから」
ハハハ、と笑い、再びイザベラの廃墟に向きなおった。
足音に注意し、十分ほどかけて、僕らは巨大な塔の前に立った。
近くで見ると、この黒い塔は、凄く太い。
くらべるものが無いから、印象でしかないが、高さはダイビルで、広さは、だぶん東京ドームぐらいある。
あ…、そういえば昔、家族で東京ドームシティに遊びに来たことを思い出した。
父さんは眼鏡をかけていて、母さんは背が低くて、ちょっと太めで食べるのが大好きで、兄さんは頼りになる…。
そうだ!
僕には、二つ歳上の兄がいた!
僕たち兄弟は、よく似ている、と、いつも言われていた。
もしや、双子の魔王って…。
僕は、兄の顔を思い出しながら、自分の想像に、ゾッとした。




