怪獣マンダの住む庭で
目の前には、厳重な鉄条網が、一直線に続いていた。
有刺鉄線を、下部は鉄のパイプに溶接し、二メートル程から上は、人の胴が入る程の輪にして、縦にグルグルとバネを伸ばしたようにパイプの頂点に溶接している。
土手から見たら、それほどのこともないような気がしたが、近くで見ると、これはとても通れない。
だがマクルは、
「ウラガスミ。
こっちこっち!」
と、有刺鉄線沿いを歩き出す。
二、三分歩くと、鉄の門が作られていた。
デバイスに反応して門が開くと、その先には砂利を敷き詰めた、とてつもなく広い平地の先に、巨大なイザベラの廃墟が建っていた。
真っ黒い、巨大なタケノコのようなイザベラの廃墟の、第一塔がそそり立つ。
地上八層と言うから、てっきり地上八階建てなのかな? と思っていたが、近くで見るに、これは秋葉原のダイビルぐらい、目分量だが、ありそうな感じだ。
「ウラガスミ君。
ここからは注意して。
この石野原には、ロックワームが生息しているんだ」
リヌが教えてくれた。
ロックワーム。
言葉を聞いて、思い出した。
こいつは最大十メートル程にもなる巨大生物で、ワームというと歯のあるミミズ的な物を思い浮かべるが、二一世紀人のイメージでいうと、というか昭和の特撮だけど、怪獣マンダに近い。
短い手足のあるヘビ、と言うか、日本の竜に近い。
地竜と言えばいいのだろうか?
それがロックワームだ。
「ど…、どう、注意するといいのかな?」
「足音だよ。
奴らは音に敏感だから、そっとそっと、歩いていくんだ」
言うとマクルは、やって見せた。
足の、爪先から、ゆっくり下ろし、一歩、一歩、踏みしめるように歩き出す。




