そして、かのダンジョンへ
僕たちは、トゥーム川のほとりに戻って来た。
「ウラガスミ。
こっちこっち」
ブリッジのマジックを使おうとした僕を、マクルが呼んだ。
「ほら、ここに橋があるんだぜ!」
おおっ…。
これは、一種の沈下橋じゃないか!
沈下橋って言うのは、川が増水した時には、水の下に沈むことで、逆に壊滅的に壊れることを防ぐ橋の事だ。
僕も、二一世紀の日本で、高知県に旅行した時にこんな橋を見たことがあった。
感銘を受けてから、住んでいた場所も判らないのに、旅行の思い出だけが蘇るなんて…、と、逆に残念感が心の中に広がってしまったが、しかし、橋は立派なものだ。
トゥーム川の沈下橋は、飛び石式で、広いトゥーム川に、およそ一メートル間隔で石が点々と並んでいた。
「サンダルは滑るから脱いだほうがいいぜ!」
なるほど。
石は、川面からそんなに高さがないから、ちょっと濡れている。
サンダルは脱いだほうが飛びやすい。
一メートルの幅と言うのは、飛ぼうとすると結構遠いが、周りがすぐ水なので、落ちたところで、どうということもない。
僕たちは、ピョンピョン飛んで、長いトゥーム川を渡り切った。
二一世紀人の僕は、けっこう息が上がっていたが、三人は、リナに至るまで元気いっぱいだ。
マクルの案内で、僕は草原に作った細い道を歩いて鉄条網まで行った。
やっぱり、コフィたちは、ちょっと、というか絶対に冒険などしたことがないんだな、と僕は感じた。
そして…。
目の前に建っているのが、地上八層、地下?層、という広大な遺物、イザベラの廃墟だった。
地上階は、まるで三つ並んだ巨大なタケノコのように、一層づつ付いている渡り廊下で三角柱を形作ったような、不思議な形の高層建築だった。




