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さよなら
「でもデバイスの数は限度があるって…」
「限度があるのは脳の数なんだ。
カテドラルで最良の環境で管理しても、人間の脳は百年も生きられない。
だが、ただ増えていくだけのノラを使えば、今の倍、いや三倍だってデバイスが生産出来るんだ」
僕は唖然とした。
「ただ増えていくだけって…。
ノラの人たちだって、あの人たちなりの生活があるのに…」
馬鹿ね、とコフィが叫んだ。
「マイラが滅べば、マイラのおこぼれで生きているノラも、どうせ死ぬのよ。
マイラが勝てば、奴らだって幸せなのよ!」
僕は、黙った。
この人たちと議論しても、平行線をたどるだけだ。
基本的人権、とかを二人に説けるほどの学識は、僕にはない。
ただ、彼らが間違っている、と思うだけだ。
「え、っと、君たちも、その十二人委員会を倒す戦いに、僕を使おう、と言うんだよね?」
二人は黙った。
「でも、十二人委員会には、確か、僕の他にも、もう一人の魔王がいるから、君らの口車に乗ったら、僕は、この世界で唯一の、同空間人と殺し合う事になるんだ…」
「いや…、しかし…」
トムトムは言ったが…。
「だから、さよなら、だよ、コフィ、トムトム。
僕は、ギルドに付いて、何とかして、もう一人の魔王に会わなくっちゃ」
言うと、僕は、まだかかっていたブリッジを渡って、町に帰った。




