どっこい敵の逆襲が…
カンセンシャ、はしPは、上半身をよろよろと起こしていた。
そこに僕のスリングショットが命中した。
はしPは、一旦地面にぶつかって、10メートルほど転がると、激しく土煙を上げて転倒した。
今度は胸に中心に命中している。
みぞおち、と言う人体の弱点に完全に入っていた。
僕とはしPの距離は、およそ30メートルだったが、僕は、一旦、立ち止まった。
自分より強いと判っている相手に接近戦を挑むのならば、なるべく弱らせてから戦うべきだ。
それに相手はカンセンシャ。
うっかり噛まれたりしたら、哀れ学生服のゾンビが荒野をさ迷うことになる。
敵は、一瞬、動かなくなったが、やはり手足を動かしだしていた。
この敵は、思った以上に手強そうだ。
僕はデバイスに顔を近づけて、
「カンセンシャ。
弱点は?」
と聞いてみた。
すぐに空中にモニター状の光のボードが浮かび、
「500度以上の炎、
頭部の破壊、
およびスタンショック」
と出た。
「え、スタンショックでいいの?」
21世紀で言うところのスタンガンだ。
ゾンビを殺せるイメージは無い。
「100万ボルト以上に設定し、3分以上通電を続けることで、ウィルスは100%死滅する」
な…、なるほど…。
最高レベルのスタンショックを3分間続けるのか…。
少し希望が見えてきた。
上手く相手を柔道技でロックしさえすれば、スタンショックで敵を倒せる。
僕は立ち止まったまま、はしPの動きを見守った。
はしPは別の生き物のように、手足を、まるでバラバラに動かしていたが…。
「あっ!」
と、僕が思った一瞬で、地面を蹴って、僕をめがけて、顔から突っ込んできた。