カテドラルの内情
「その結果、双子の魔王がこの世界に召喚されたのだが、その一人が君、ウラガスミ君だ。
もう一人は、十二人委員会の手に落ちたようだが、君はギルドが確保したんだ」
「えっ、でも、僕は、双子じゃないよ?」
なにしろ、記憶が出てこないのだから、絶対確実だ。
トムトムは首を振って、
「僕らは反政府組織、レジスタンズのメンバーなので、ヘーラ召喚計画の細かい概要までは判らない。
ただ、主導権をとっていたはずのスピン教団のリヒャードは、魔王を手に入れられなかったので焦っているらしい。
我々なら、君を匿えるんだよウラガスミ君。
同行してくれないか?」
僕は、二人を見上げた。
本心を言えば、いかに外見は可愛くても、コフィには信頼感が全くわかない。
だが、この誰もが本当の事を言ってくれない世界で、とにかく話を聞ける関係を、無下に壊したくなかった。
「君たちは、なぜ反政府活動を?」
「君には判らない、かもしれないが、この町は沈みゆく舟だ。
なのに政府は、ギルドと、十二人委員会、スピン教団のリヒャードに割れて、対立し続けるだけで、何の現実的な対策も、うち出せずにいるんだ。
前にも言ったけど、ここでは成人はほとんどいない…」
僕は、ちょっと待って! と叫んだ。
「昨日、同い年ぐらいの子と話したんだけど、成人はカテドラルでデバイスを作っているし、その子たちはハレーイヤーには家族に会ってる、って話していたよ」
ハハハ、と力なくトムトムは笑い、
「そういう風に騙されている子供は、幸せだよ」
僕は、首を傾けた。
すると、頭上でコフィは叫んだ。
「あんたの付けているデバイス、それを動かしているのは人間の脳ミソ。
全ての成人たちは皆、脳だけの存在となり、デバイスを機能させるマスターコンピュータになっているの!
そして、十二人委員会だけが、のうのうといがみ合っているわけ!
判った? 魔王様。
この腐った世界が!」




