魔法検知
いずれにせよ、判らないのに、勝手にマジックとか、剣技とか、剣自体の特殊効果とか、決めつけるのは危険だ。
僕は、そろそろと広いロビーを歩き、壁に近づいていく。
魔法の効果で、煌々と灯ったホールの明かりの中でも、僕の影が見えないことを、確認した。
大丈夫。
そういった初歩のミスで覚られることはないハズだ。
僕は、視界の端にアシムを置くようにして歩いた。
よく、なんとなく視線を感じる、とか、言うから、その用心だ。
アシムは、周りの12人の部下に、色々指図をしていた。
他の出口を固めろ、とか、どこそこの連中も、こっちに集めろ、とか。
おそらく、時間が経つほど僕たちは不利になっていく。
だから…。
なんとか、この作戦を成功させなくっちゃ。
僕は、壁際まで歩いた。
90度向きを変えて、今度はアシムに近づいて行く。
アシムは、叫んでいた。
「奴は時空移動者だ!
かなりのマジックの使い手だぞ!
そうだ!
魔力検知を使うんだ!
そうすれば、きっと見つかる!」
やばい!
僕は、リストを見た。
魔力検知。
マジックを使っていると、その痕跡を感知する、厄介なマジックだ。
ただし…。
そうそう誰にでも使えるマジックではないらしい。
攻撃マジック、防御マジックと言ったものは、すぐに効果が期待出来るから覚えるが、マジックの痕跡を探すマジックなどは、レベル30ぐらいのマジックキャストが、魔法使いの称号を手に入れるため、つまり試験に出るから覚えるマジックの一つにすぎないのだ。