待ち伏せ
古い石造りの階段は、段差もまちまちだし、所々磨り減っていたりして、駆け上るには足元が悪い。
だが、背後にアシムがいる、と思うと、どうしても急いでしまう。
やはり、ブーツかスニーカー的な物の方が、サンダルよりは動きやすいな…。
思いながらも階段を登った。
後は、角を曲がれば、すぐ出口だ!
だが、角を曲がった僕は、すぐ、もと来た角に飛び込んだ。
「どうした!」
叫ぶマクルに、しっ、と人差し指を立てて。
「出口にアシムがいる…」
「え…、そんなバカな!」
言ってマクルが角を覗いた。
赤いケフムに、なにより、胸に開いた大きな穴。
「うわぁ、アシムの野郎、一体どうやって!」
「多分、近道があったんだろうな。
あれだけの規模の地下牢獄だ。
階段も一つじゃなくて当然だろう」
リヌが冷静に分析した。
「どうする。
奴は強いぜ」
マクルは、何故か僕を向いて言った。
そ…、そうだよね…。
僕が…、いや、僕のマジックだけが、この難局を切り抜ける鍵だよね…。
僕はデバイスを見た。
攻撃マジックで、サイボーグに有効なのはどれだ?
えーと、火炎系とか…、電撃は、さっき効かなかったし…。
僕は慌てて調べたが、ふと、画面の上に検索があるのに気がついた。
サイボーグに有効な攻撃、と入力すると…。
複合マジック、バリア封印をしてからの、サンドストーム、と、出た。
そうか!
砂の嵐なら、なるほど効きそうだ!
問題も一つあった。
複合マジックは、射程が10メートル以内なのである…。