倒したはずのアシム?
煙幕を停止すると、マクルとリヌは、リナに再会した。
兄のリヌが行くのか、と思ったら、熱烈に鉄格子に飛び付いたのはマクルだった。
リヌを見ると、ニコリと笑って肩を竦める。
なるほど。
そーいう人間関係だったんだね。
マジック解錠で、牢の扉を開き、さぁ、逃げよう、というとき。
「おいおい。
おめでたい奴らだな。
本当に逃げられると思っているのか?」
えっ、と振り返ると、倒れていた20人の内、1人が、よろり、と立ち上がってきた。
バトルスーツより薄手の、普通の白シャツみたいな上着を着た男だ。
そういえば他の19人とは違う、赤っぽいケフムをつけていた。
「あの人が、指揮官のアシムなのよ!」
リナが叫んだ。
アシムは、ケフムの内側からくぐもった笑い声をあげ、
「お前たちは、全員、輪切りにしてやんよ」
言うと、腰の剣を引き抜いた。
「俺に任せろ!」
マクルは言うと、槍を手に、アシムと対峙した。
一瞬の出来事だった。
正確なことは、何も見えなかったから、僕の目に映った光景を書くしかない。
薄く笑うアシムが、一瞬、剣を振るような素振りをした。
それに対応して、マクルが、剣を槍で跳ね上げるように、槍を動かした。
2人の間の距離は、完全に槍の間合いだった。
ところが…。
槍は真っ二つに折れ、マクルは腕から多量の出血をした。
僕はレイガンでアシムを撃った。
ぎゃ、と叫んで、アシムは倒れた。
マクルの腕は、槍の前側を持っていた左手に、甲から肘にかけてスパリと切られていた。
リナが必死に血を脱ぐっていたが、僕は横からヒールのマジックをかけた。
みるみる傷が塞がり、3人は驚きの目で僕を見た。
「単なる治療のマジックだよ」
僕は言ったが、背後から、
「そうか。
お前が時空移動者って訳だな」
と、再びアシムの声がした。




