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記憶喪失のボッチ冒険者  作者: 六青ゆーせー
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キャンパさんの家

一瞬、声をかけようか、と思ったが、僕は、上げかけた手を途中で、止めた。

コフィたちの言葉が、心のどこかに刺さっていた。


パントンとクローラーの事は、名前まで当てられた事を考えると、あながち嘘とは言えない気がする。

それに、彼らの言う通りだとすると、僕が学生服で荒野に出ていた理由も説明できた。


でも逆に、学生服が一番防御力が高いのだとしたら、単に、それを知っていたからこそ学生服で荒野にいただけかもしれない。

判らない…。


だから…。


僕は、ちょっとストーカーみたいだけど、キャンパさんを尾行することにした。


キャンパさんはショッピングセンターで、上階から階段を降りてきて、本屋の階は素通りして、2階、婦人服のコーナーをゆっくり眺めた。


キャンパさんは、僕の見るところ、20代の真ん中から後半ぐらいの年齢だ。

お洒落が気になるのは当たり前。

僕は、十分に距離をとってキャンパさんをつけた。


20分ほどで、キャンパさんは2階から降りると、今度は地下に向かった。

賑やかな食品売場を1周、2周、両手に買い物袋をぶら下げて、キャンパさんは最後にケーキ屋さんに立ち寄った。


しばらく選び、ちょっと日本では考えられない、紫色とショッキングピンクのボールケーキを購入すると、大きなケーキの箱も抱えて階段を上がった。

他人ごとながら、エレベーターに乗ればいいのに、と思いながら尾行すると、広場の冒険者の像を横切り、ハヌマーンの前を右に曲がった。


少し歩くと大きな通りだ。

この道は、正方形の町を4つに分ける大通りの一本で、此処を真っ直ぐ、町の中心まで行けば、この町の政治と司法の中心、12人委員会の行われるパレスに行き当たる。

パレスは長い尖塔をもつ立派な建物で、この塔が、外から見たピラミッドの頂点になっている。


キャンパさんは大通りを横切り、細い道に入っていく。

目抜通りは大きな商店などが並ぶが、一つ奥に入ると、21世紀の日本でも、そうなような生活感が漂い出す。


いくつか道を過ぎると、一軒家が立ち並ぶ居住区になった。

そのうちの一軒のチャイムを鳴らし、扉が開かれると、キャンパさんそっくりな髪の色の幼女が満面の笑顔でキャンパさんを迎え入れた。


あぁ…。


やっぱりキャンパさんは、嘘をつくような人とは思えないよ…。


その温かそうな家を見て、僕は思っていた。

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