ディナーの後に…
たぶん僕が漫画の主人公なら、ここでスピン教団に乗り込んで、教主様とやらに尋問すれば、今の不安定な立ち位置も、新しい情報を手に入れることで解消される、はずなのだが、正直一人で乗り込むなんて、怖くてとても無理だ。
スピン教団には信徒が2000人ほどいるらしく、教団には常に5、60人が、詰めているらしい。
ゲームでもイージーモードを選びたい状況だし、実機1の現実だし。
今日のところは大人しく、宿でレイガンの本でも読んで、静かに過ごすことにしよう。
夕方、本もあらかた読み終わり、一度、レイガンの分解もしたところで、お腹も空いてきたので食堂に行くことにした。
相変わらずハヌマーンは絶対十代の人たちが酔っぱらって大変なことになっている。
賑やかで、楽しそうだなぁ…。
それを横目に、僕は食堂に入った。
本日のお勧め、ピャーラの煮物とタルカを頼み、タルカのトッピングにチーズも追加した。
ピャーラは魚だった。
僕の、ささやかな知識では、きっとイワシに似ているかもしれない。
それに赤くて辛いペーストをかけて食べる。
付け合わせの、さやごと煮た豆が酸っぱくて、ちょっとイタリア料理風のピャーラとよく合い、美味しい。
タルカのトッピングのチーズは、ごろん、とした塊で、それをスプーンの背で潰しながら食べる。
なるほど…。
潰すと、タルカの中に沈み、砕けるので、いい感じに全てがぐちゃぐちゃに混ざって、タルカはとろとろになって、ピザの真ん中らへんみたいで、癖になりそうだ。
食堂では本日のお勧め以外にも、色々な料理が出る。
骨付きの大型獣の焼き肉とか(一人では、たぶん食べきれそうにない)、鍋みたいなものもある。
コフィが食べていたドーナツや、見た目はケーキらしきものもある。
一番謎の食品は、小鉢に入った茶色いペーストで、けっこう多くの人が好んで食べているようなのだが、見てると絶対ダメという人も多いらしく、悪戯でタルカに入れられて大喧嘩、みたいな光景も目撃した。
日本で言えば納豆とか、そんな物だろうか?
そう言えば、当然エビマンゲツの肉も食べることができる。
そのまま蒸したり、煮物や炒め物にするようだ。
僕は元々のものを知っているので、今のところ、食べる気にはならないけど。
食堂を出てハヌマーンに帰ろうか、と思ったが、まだショッピングセンターが開いているようだし、こっちの本も、何か見てみようかな、と僕は思った。
そういう情報だって、役に立つかもしれない。
5階で雑誌らしきものを見て回ると、冒険者向けの情報誌というのを見つけた。
パラパラめくってみたが、興味ありそうだったので買うことにした。
早速、宿に帰ろうと階段を降りかけて、偶然、帰宅途中らしきキャンパさんを見かけた。