なんか変な教団、出た
さて、困ったな。
21世紀の日本なら、お巡りさんを呼べば、後は全て引き受けてくれるんだろうけど、アクユアーン辺境の町マイラでは、どうするべきか判らない。
自分で取り調べる、と言っても、そんなのゲームとか漫画でしか見たことも無い上、方法なんて出てこない。
とにかく人目につかないように、広場の中心にあるオブジェ、冒険者の像、の側まで運ぶことにした。
え、と、確かマジックで…。
まず浮遊のマジックで彼らを浮かすと、そのまま襟首を掴み、ピカピカの金属製の幾何学図形の集合体、冒険者の像、の下に運んだ。
そこで、落ち着いて、ゆっくりマジックを探す。
なにしろ全てのマジックを覚えているので、頭には入っているが変な話、使い慣れていないのだ。
デバイスでリストを調べると、尋問、というマジックがあったので使ってみた。
「どうして僕を襲った?」
スタンショックで気絶しているが、マジックの効果で質問には答えられる。
「我々はスピン教団の信徒だ。
教主様に君を連れて来い、と指令を受け、遂行したのだ」
「何か理由を聞いていないのか?」
「君が空間移動をしたことと関係がある、とは聞いたが、それ以上は知らない」
僕は考えた。
「じゃあ、スピン教団とは何なんだ?」
聞くと、さすが信徒、物凄い膨大な話を語った。
要約すると、どうもスピン教団とは、この世界の正教である全能の神パスを信仰するのではなく、もっと古代の、ユアン7神を信仰しており、その主神は、1日ごとに変わるらしい。
特に重要なのが第6の神ヘーラで、この双子の神は破壊神の側面を持っている。
ヘーラが大いなる破壊をすることで、秋に作物が枯れ、収穫が出来る。
破壊なくしては新たなる春は来ない。
よってヘーラによる大いなる破壊バドリジィを願うのが、スピン教団の眼目らしい。
他にも考えつく限りの質問をしてみたが、残念ながらデバイスのステータスには知力の項目は、そもそも、無い。
僕は一応、スピン教団の所在地を聞いて、彼らはそこに置いて、宿に帰った。