どっかで見たバーの中で
狭い入口を入ると、縦にカウンターが伸びていて、その奥に小さなテーブル席が2席ある、アニメか何かで見たような、とってもバーっぽい雰囲気の店だった。
「見張りは?」
まずマスターが聞いてきた。
「大丈夫よ。
鼠は、猫が上手く追い払ったわ」
少女が、グリーンの髪を、さっと払いながら答えた。
問答までアニメ風だ。
「トムトム、
彼がウラガスミよ」
僕はビックリした。
「え、どうして僕の名前を知っているの!」
彼女は、僕をバカにしたようにヘヘンと笑い、
「この辺で、そんな服着て歩いているの、あなただけなのよ。
知らないハズが無いでしょう」
ああ…、やっぱり、この服は目立つよねぇ。
「あたしはコフィ。
冒険者よ」
彼女が手を差し出してきたので、僕は握手をした。
「ウラガスミです。
でも、僕が騙されているって?」
「あなた、記憶がない。
そうでしょ?」
「何で知っているの!」
「その服は、この世界のものではなく、あなたの元いた世界のもの、そうね」
僕は大きく頷いた。
「そうだよ、そうだよ!」
コフィは満足そうに大きく頷き、言った。
「あなたは今日の10:00、自分の世界から強制的に、この世界に連行され、11:00に荒野に、記憶を操作された上で放置されたのよ。
もし、あなたが死んだら、別の人間が死体を回収するハズだったのよ。
あなたが勝ったから、あなたはここで、あたしと話しているの。
判る?」
僕は唖然と、コフィとトムトムを見つめた…。