表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

約束は守る

 「どこから来たの?」

 不意に思いつく質問を投げかける隼。困った表情をしているサーシャは質問の回答に戸惑っているようにも伺える。どこからという時点で段ボール箱の中にいたという答えでは納得いかないということをサーシャは理解しており何よりも自身がいた場所を露呈することによって隼が興味を持って行きたいと申し出るかもしれないという葛藤に悩まされる。

 「う~んとね…。此処ではない遠くの場所。」

 「遠くってどれくらい?」

 「この島国にはないよ。」

 日本という国ではないことを告発することによって隼が行きたいという意気を落ち着かせる作戦なのか、はたまた仮に日本にあるにも関わらずその場所を大きく見せたいのか…。どちらにしてもサーシャの思惑に隼は無事に乗った。

 「そうなんだ。じゃあ段ボール箱に入っていたのはその国の荷物から紛れ込んじゃった訳なんだ。」

 「まぁ、そんな感じだね。隼はどうして私が入ってる箱を見つけたの?」

 サーシャの反撃。

 「散歩していたら見つけた。でも、サーシャが入っていたのはわかんなかったけど、中身が気になったから持ち帰っただけ。」

 三者凡退。見事に空振り三振を決められたサーシャはポカーンと口を開けて、この世代の好奇心とはと感慨耽る。

 「そ、そうなんだ…。はぁ、先が思いやられる・・・。」

 「え?何か言った?」

 「ううん!何でもないよ!でも、見つけてくれて助かったよ。ありがとう。」

 後半の言葉は小さくて隼の耳には聞こえなかったようだ。

 「じゃあサーシャはその国に帰らなきゃいけないんだよね。」

 「まぁ、話の流れからすればそのようになるけど…。」

 「じゃあ僕がその国に行けるように手伝ってあげるよ。」

 小さな身体が強張る。最初の質問をぶり返されたと感じたりもするがサーシャにとっては好都合でもあり、隼が自身の国の詳細を知ってしまうというデメリットが付いている。

 「え、いいの?海を越えるんだよ?」

 「流石に飛行機に乗ることは出来ないけど空港までだったら行けるよ。すぐ近くだから。」

 隼は机から少し色褪せた社会科の地図帳を取り出し、サーシャの前で開いた。

 「今僕たちがいるのはこの茨城なんだけど、この空港かちょっと遠い空港があるんだよ。そこまでなら電車やバスで行くことが出来るよ。」

 「へぇ・・・。でも、今いる所がわかってよかった、ここまで行くのに結構お金が掛かるんじゃない?」

 「そこはお母さんやお父さんに話を聞けば大丈夫だよ。」

 子供で大金を持っている訳はないということをサーシャはわかっており、やはりという答えであった。


------------------------------------


 夕食でのことであった。隼の家ではいつも家族ぐるみで食事をすることが普通であり、家族が唯一集まる時間でもある。家族構成は両親と姉が一人、そして隼という四人であり、祖父母は実家で暮らしている。普段何気ない会話をしながら食事をするが、今宵は隼が真剣に話を切り出した。

 「今度さ友達が空港の近くで買い物しようって言うんだけど・・・。いいかな?」

 「珍しいな。買い物だったら近くのデパートでもいいのに」

 「隼の友達に飛行機が好きな子いたっけ?」

 両親は不思議そうに隼の話を聞く。父親はIT企業の会社に勤めており、なかなかの待遇を受けている。母親は専業主婦だ。

 「うん、健斗君が乗り物好きなんだ。車詳しいの知ってるでしょ?今度は飛行機も詳しく知りたいから実物を見るってうるさいんだよ。」

 「んで、あんたは巻き込まれた訳ってことね」

 「まぁ、そうなる。」

 夕食を口に運びながら隣に座っている姉はつまらなそうに納得する。始めからあまり話題に興味が無さそうに見える。

 「だからお金が必要ってことでしょ?どう、パパ。」

 両親は互いにパパママで呼び合う程仲が良い。父親は渋い顔をすることもなく、う~んと唸り、考えた末に隼に顔を向けた。

 「怪しい人には付いていかない。変な勧誘に誘われない。交通安全は当たり前。守れるな?」

 「うん、大丈夫!」

 「うむ。ママもいいか?」

 「そうね…。ちゃんと門限五時を守れるならいいわ。」

 「よかったね。」

 「うん!ありがとうお父さん、お母さん!」


------------------------------------


 「と、いうことで許可は貰ったし、お金ももらったよ。」

 「優しい両親でよかった…。」

 夕食を終え、自室へと戻った隼。サーシャは念のため夕食の席には顔を出さずに部屋の机に座っていた。

 「サーシャも下に降りてくればよかったのに。」

 「それはいけないよ。君に私の姿が見えるってことは、お姉さんにも見える可能性があるから…。そうなったらややこしくならない?」

 「う~ん・・・。変な趣味に走ってる弟を哀れみの目で見てくるかもしれない。」

 「それは凄いお姉さんだね…。」

 「とにもかくにも、これで空港に行けるようになったから明日から行こうね。」

 「ありがとう、何から何まで・・・。」

 「いいよ、お礼なんて。僕がしたいからやってるだけなんだから。」

 「うん…。じゃあもう寝よっか。」

 「うん、おやすみなさい。」

 灯りを消し、その日の夜は早く過ぎていった。

はい、今回は両親と姉が初登場しましたね。次回以降出演してくれるかは未定です。

健斗君というのは話の中だけの人物であるので、隼とサーシャについては行きません。

では、次回もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ