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薄暗い室内には、ヴィグと先読みの力を生まれつきもつハイラルの巫女姫シルダリヤが絶えることのない炎が揺らめく炉を挟んで対面していた。
伏せられていた瞼をゆっくりとあげると、そこにはヴィグと同じ色の濃い翠色をした美しい瞳があった。
ヴィグの瞳に焦点を合わせながら、ヴィグに呆れたように言い放ったのだ。
「ハイラルの男のくせに、死ぬ死ぬ、言うなど、戦士にあるまじきこと。
主のは、病いは病いでも、死んだりせぬから、安心せよ」
美貌の巫は、にこりともしない。
「やはり、病んでいるのか?」
ヴィグが、すかさず聞いた。
「お前は、子どもの頃から阿呆だったが、自分の気持ちにも、気づいてないとは。
阿呆も極まったな」
辛辣な言葉が、その美しい口元から流れ出てくる。
「⁇」
ヴィグは姉の顔を見ながら、まだ理解せずにいた。
「まだ理解しないとは...。
ヴィグよ。お前のは、病いは病いでも、恋煩いじゃ!」
「なんと?」
美姫の瞳の色が冷たさを増した。
「脳筋めが。
だ~か~ら~、ヴィグ、お前は、その胸のうちにおる女のことが好きなのだろっ!」




