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9ー10

男が瑠璃の顎をとらえて、顔を上向かせた。


お互いの目が合うと、男は、怪訝な表情をしたあとに、瑠璃に向かって笑いかけてきた。


男はカイラスに、やはり似ていた。


瑠璃は男とカイラスの違いを、その表情に探した。

男の、その瞳の色は深い湖を思い起こさせる色合いだった。

整った顔だちはそっくりではあったが、カイラスよりも傲岸不遜な雰囲気をまとっていた。


瑠璃と男が互いを見つめあっていたところに

マリィの鋭い声が届いた。


「貴妃様に乱暴するのは、許しませんよ」


「...........」


男はしばらく沈黙していたが、マリィが近づいてくる気配がしたので、瑠璃から手を離して、ゆっくりと立ち上がった。


「マリィ、お前がいながら、貴妃が東の神殿に入りこむとは、どういうことだ。

俺は、貴妃を助けてやったのに、ひどい言い様だな」


マリィが急いで、瑠璃を庇うように男の前に立っていた。


雲に少し隠れていた月が顔を出し、さっと男の姿が暗い夜の闇に浮かびあがる。


「まぁ!

まさか、殿下が、このようなところにおいででらっしゃるとは、微塵も思いませんでした。言葉が過ぎました。お許し下さいませ」


マリィが、驚きの声をあげて、すぐに男が誰か理解したのか謝罪を口にした。

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