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9ー7

瑠璃が、目覚めると、城内にはいつもと違う緊張した空気が漂っていた。


マリィも、少しだけ、なぜか疲れて見えた。


それは、朝方、居室のほうが騒がしかったことと関係があるのかと思いはしたが、瑠璃はとくにマリィに聞きはしなかった。


食堂で、朝食を食べ終えて、マリィが丁寧に淹れてくれたお茶を飲んでいた時に、瑠璃に、カイラスが、ブラックウォード城を朝方、国境近くの村に向けて出発したことと、しばらくの間、城には戻れないことをマリィによって教えられた。


「カイラスは何かほかには、言っていた?」


瑠璃は無意識にカイラスの瞳と同じ色の石が使われた首飾りに触れながら、ふたりの間にあったはずの「なにか」を探すように期待して、マリィに聞いた。


マリィは申し訳なさそうに、ゆっくりと首をふり、カイラスからは、それ以上は伝言などないことを瑠璃に伝えたのだった。


ーなにを、期待していたんだろう。


カイラスが瑠璃を起こすことなく、ブラックウォードを発って行った事実が、今の瑠璃とカイラスの関係を物語っている、と、思う。


なぜ、あのときから、ふたりの距離がこんなに離れてしまったのか、瑠璃にはわからなかった。


ーカイラスを好き。

でも、カイラスにどう接していいのか、わからない。


瑠璃から、遠ざかろうとしているカイラスに、自分自身の気持ちを伝えることが、カイラスにとって、重荷でしかないのなら、気持ちを伝えることは出来ない。


あの日から、カイラスは遠いままだ。

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