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女の瞳の色は、ダークブラウンだった。
菫色と思いこんでいたので、意外だったが、オビ人にはない美しい瞳の色に、カイラスは満足し、つい知らずに女の前で、笑みを浮かべていた。
女が目覚めたからには、女の処遇を決め、早々に城に戻らなければならない。
別荘がある場所、エルシアは古来からオビ国の聖地のひとつだ。
オビ国を治める父が、身体が弱く病気がちな母のために、聖地の霊気が母の命を、地上に少しでもながく留めおいてくれることを期待して、別荘を建てるにあたり、この地に決めた。
また、エルシアには古来より神々の楽園があったが、人間が地上に栄えるに従い、神々との諍いが生じ、神々は目に見えない世界に去ったという神去りの場の伝説が残されている。
カイラスの心を惹きつけてやまない女を、カイラスは、エルシアから去った女神のひとりなのではないかと訝しむ。
でなければ、カイラスの内に沸き起こる、この名付けがたいものはなんなのか。
説明がつかず、理路整然としていないものは嫌いだった。
伝説など、馬鹿らしいし、信じてもいなかったが、女の存在じたいが、ありえないことなのには間違いない。
オビには、人外のものを見分けるひとつの方法が、お伽話として伝わっていた。
普段のカイラスのやり方では対処できそうにもないことだったので、子どもの頃に聞いたある方法で女が人外のものか、確かめることにした。




