8ー4
執務補助官室の扉をノックし、返事もないうちに扉を開けた。
「俺を探してたって聞いたけど、何の用だった?」
机に向かい、書類になにやら書き込んでいるナオを見つつ、勝手に勧められてもいないのに
椅子に腰をかけた。
「用事というか...。
今日の市場での話を、聞きたかったので」
「?
それだったら、上司にきちんと、報告は上げたけど?」
「殿下とルリ様のおふたりのようすのことだ」
ナオがなんでふたりのようすを知りたがっているのか、見当もつかなかったが、俺は、印象に残っていた場面について話すことにした。
「まず、ルリ様が、すんげえキレイで感激したね。ハイラルの巫女姫が、美人だって、もっぱらの噂だけど、うちんとこのルリ様が一番でしょ。」
俺は、腕組みしながら、ウンウンと頷いた。
「アルバン、ルリ様についての、お前の感想はわかった。私だって、ルリ様が近隣諸国の王族女性で一番だと思っている。で、おふたりのようすは?」
ナオが、負けじと、なぜかルリ様のことを口にしてきた。
「そうだな。
あれだ。ルリ様は、殿下がすごく好きなんだな」
ルリ様が口にした言葉を思いかえしていた。
「そこをもっと詳しく話して下さいませ!」
「‼︎」
衝立の向こうから、なんと「奥」を取り仕切っている家政務長のマリィさんが、飛び出てきた。
まさか、いるはずのない人間が突然現れるとは想定してなかったので、危うく椅子から落ちそうになりながらも、なんとか、運動神経の良さを発揮して持ち直した。




