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「マリィたちのお土産は、なんにしよう?」
瑠璃は、「奥」で、待っている女官たちや、働いているひとたちの顔を思い浮かべながら、口にした。
通り過ぎてきた店に並べられた菓子のいくつかを、その、候補に頭には入れていた。
「マリィなら、この先にあるガレが好きだと言っていたような記憶がある」
カイラスから、マリィの好きなものの情報をもらい、瑠璃は、しまったと思った。
ここのところ、ぼんやり過ごしていたから、お土産のリクエストを聞くことすら、しなかったことに気がついた。
「マリィが好きなガレって、どんなもの?」
瑠璃の質問に、カイラスが瑠璃を見ながら
「ルリは食べたことがないかもしれなかったな。
甘くて香ばしい香りがする、焼き菓子だ。
この先に、いくつかガレを売る店があるから
、買うといい」
と、客を引く威勢の良い掛け声がするほうを見ながら、教えた。
「元祖とか、本家とか、いくつもあるからな。マリィが、どこの店を言っていたのかまでは、覚えていない」
カイラスが教えてくれたガレは、マドレーヌに近い感じの焼き菓子で、瑠璃はカイラスが試食ように買ってくれたものを食べて、気に入った。
「元祖は、食感がふわりとしてて良かったし、本家は口に含んだときに、広がる甘い香りが良かったし。食べたら、かえって、悩むなぁ」
元祖か、本家かで悩んでふたつの店を見比べる瑠璃に、カイラスが言う。
「両方の店で買えばいいではないか」
瑠璃は、カイラスを呆れたように見上げながら返す。
「次くる時の楽しみにとっておきたいの。
だから、今回はどちらかで、買う!」
しばらく悩んでから、瑠璃は、
「今日は、元祖にしよう」と勢いよく、口にした。
カイラスがホッとしたような表情をして、瑠璃を待たせて、ガレを買いに行ってくれた。
なにやら、カイラスは店のひとたちと、話しこみ始めてしまい、瑠璃は手もち無沙汰になってしまったので、ガレを売る店から、少し離れたところにあった可愛らしいアクセサリーの店をのぞくことにした。
店先に綺麗な色合いの石をうまく組み合わせて作られた首飾りや、ブレスレット、髪飾りが並べられていた。
瑠璃が店先で、それらを眺めていると店主らしい女が声をかけてきた。
「気に入ったのがあったら、手にとってみてよ。ハイラル自慢の鉱石を組み合わせた手工芸品だから」
声の主に、瑠璃は見覚えがあった。
女も顔を上げた瑠璃をまじまじと見た。
ふたり同時だった、声をあげたのは。
「あの時の⁈」
瑠璃がカイラスを宿に置き去りにしたあと、ブラックウォードまで馬車に乗せてくれた一団のひとりだった。
女は瑠璃の身なりを上から下まで確認して、
満足そうにしていた。
「あんたみたいに、綺麗な娘が、ほっておかれるわけないものね。
で、あんたの連れは一緒じゃないのかい?」
瑠璃がカイラスを探して、顔を来た道のほうに向けると、ちょうど、カイラスが瑠璃を追ってくるところだった。




