嵐が去ったあと、の。
7ー1
カイラスとともにしている寝室で目覚めると、すでにカイラスはいなかった。
ハイラル国との会議が終わった翌日だけ、昼まで「奥」にいたが、その一日だけで、あれから、瑠璃を避けるかのように、朝、寝台でひとり目覚める日が続いた。
市場に行くとカイラスにいわれた日に、瑠璃のために用意された装いは、「奥」で身につけているものよりも、その胸元は慎ましく、鎖骨が少し見える程度で、襟元が美しいレースで飾られて、胸元が隠れるようなデザインのものだった。
朝食を済ませて、カイラスがいる居室に行くと、カイラスが、瑠璃の装いを検分する視線をくれて、満足したように、肯いた。
カイラスは、いつも、「表」に向かうときにしている飾り帯ではなく、施された刺繍も簡単なデザインのものを身につけ、長衣もバルク・ロザが身につける黒地に金糸の太陽紋のあるものではなく、白地に青い刺繍があるカジュアルな感じの長衣を着ていた。
瑠璃は、起きてから、せっかくだから、市場に行くことを楽しもうと、気持ちを切り替えることにした。
ーカイラスを好き。
ずっと、気持ちがあちこちに揺れていたのは、そのことを、認めたくなかっただけだった。
ときどき、ふたりの間に温かなものが流れたかと思うと、カイラスは、また、距離をとろうとする。
誰とも付き合ったことがない奥手の瑠璃には、それは、戸惑いをもたらすものだ。
カイラスを想う気持ちを、自分で、認めるまでに、嵐のなかに身をさらすような気持ちがしたが、いったん、腑に落ちたら、それは、瑠璃を明るくさせるものだった。
カイラス、本人に告げる気はなかった。
瑠璃自身さえ、どうあつかっていいかわからない、瑠璃のなかに、生まれたばかりの「恋心」だったから。




