6ー7
カイラスに会いたかったのに、会うと瑠璃の胸は絞られたみたいに痛かった。
カイラスの存在を意識せざるをえなくて、カイラスと一緒のときに、カイラスにわからないように詰めていた息を、そっと吐いた。
マリィに、自分の気持ちの変化を気づかれるのを恐れて、庭園をあてもなく歩いた。
瑠璃自身も初めての、嵐のように身の内をかけるこの感覚をもてあましていた。
笠井賢一郎に抱いていた想いは、カイラスを求める気持ちに比べたら....なんて、幼いものだったのだろう。
市場に連れて行ってもらえることになったが、気乗りしないままだ。
バルク・ロザとして城下を訪れるのであれば
、ふたりきりで、過ごすというわけにはいかない。
カイラスの立場であれば、仕方ないのは、理解していても、せっかく、城下に行くのに、と思った。
寂しかった。
誰にも、いちばん近くにいるカイラスにすら瑠璃の胸の内を明かすことができず、マナナ寺の母や祖母を思わせる女たちに、会いたかった。
マナナ寺には行くことを許さない、と、断固として言われ、なおさら、さみしさが募った。
ヴィグに会いたかったわけではないが、カイラスの前から、いなくなりたかった。
少し、このもてあました気持ちに整理をつける間が欲しい。
近くにいればいるほど、心が苦しかったから。
ハイラルに行くことも、あっさり却下され、
瑠璃の気持ちは、あいかわらず、瑠璃の胸の内をかき乱したまま、市場に行く日を迎えた。




