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穏便にハイラル国との交渉も成し遂げた。
あと少しの雑務を終えたら、ルリを城下の市場に連れて行こうと、カイラスは計画を立てた。
一週間会わなかったあとから、ルリがときどき、マリィにも
「ひとりで散歩してくるから、マリィもたまには、ゆっくりしてて。」
と、言いつけて庭園をひとり、ふらふらしているようだったから。
ルリが、会えなかった一週間のあとから、溜息をカイラスにわからないように、そっと吐くことも知っていた。
上手に、本心を隠しているようで、カイラスと一緒のときは、普段どおり、振舞っているさまが、いっそう、ルリの胸に秘めた思いが深刻なものだろうと思えた。
ルリは無意識だろうが、ぼんやりしているときに、首元に手をやり、なにかに触れる仕草をすることがあった。
ルリの首元に、すでにない、あの首飾りを探して、虚ろに手が彷徨っていた。
マリィが、ルリの変化を心配していた。
「ルリ様は、おひとりで、こちらにいらしたと聞きました。
そろそろ、子を与えては、いかがでしょう。
殿下の御子様を産み育てたら、ルリ様もさみしくはなくなるのでは?」
ルリの心を埋める術として、進言してきた。
マリィには、考えておくと応えたが
カイラスには、それが、本当に正しいことなのか自信がなかった。
ルリを失いたくなかったから。




