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瑠璃は手首を掴む男の姿を見た。
女の子として少し大柄な瑠璃が見ても立派な体格をしていた。
試しに、手首を引いてみたがびくとも動かない。
琥珀色の瞳、筋肉質な立派な身体つき、濃い金色の髪は猫科の大型な獣のように見える。
男は、瑠璃の顔をのぞきこむように顔を寄せてきた。
めくられた上掛けから出た下半身には、ズボンをはいていたので、大きく安堵した。
間近で見た男は、精悍で整った顔立ちをしており、陽光を受けた金の髪がきらきらと光をはなっている。
片方の手で瑠璃の手首を掴んだまま、もう片方の手で瑠璃の顎をとらえると上向かせ、更に顔を近づけてきた。
男の琥珀色の瞳と目が合う。
数秒見つめられたと思ったら、男の口の端があがって微笑みを浮かべた。
瑠璃には見ず知らずの男が、微笑んだ理由が思い浮かぶ訳もなく、まずは、ふたりの間で解決しなければならない差し迫った問題を告げる。
「どこの、どなたかは存じませんが、私をトイレに連れて行って‼︎」
この男も、ベッドの上で大惨事が起きるのは
望まないだろう。
まして、瑠璃も幼稚園以来していない、お漏らしなんてしたくない。
男は、怪訝な表情を向けて思案顔だ。
瑠璃は「トイレ」を必死に連呼した。
しばらく瑠璃の様子を眺めていた男が、「あ!」という表情になった。
瑠璃の理解できない言葉ではあったが、ジェスチャーで「腹が減ったのか?」と聞いてきた。




