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5ー9

朝、起きてから塞いだ気持ちのまま、重い足取りで食堂に向かった。


食堂に入るとマリィが、「奥」に戻ってきていて、


「昨夜は、いかがでしたか?」


と、明るい笑顔を向けながら、聞いてきた。


食堂には、すでに、一週間ぶりに会うカイラスがいた。


マリィに、内心の複雑な思いは隠して、瑠璃は笑顔を返しながら、


「ひとりでも、大丈夫だったよ。」と応えたのだった。


テーブルにつきながら、カイラスに、「久しぶりね。」と、素っ気なく声をかけると、カイラスは軽く首肯だけ返してきた。


瑠璃が朝食を終えて、居室でニコに出されたオビ語の書き取りの宿題をこなしている横で、カイラスは書類に目を通していた。


いつもなら、とっくに「表」に行ってしまっている時間だったので、不思議に感じて、口にした。


「今日は、遅くていいの?」


カイラスは、「ああ。」とだけ応えて、膨大な量の書類に引き続き目を通していた。


気まずい空気のなか、しばらく、ふたりで過ごしたあと、カイラスが瑠璃に渡すものがあると言って、瑠璃の目の前に、革の小さなポーチを置いた。


「開けてよい。」


と、カイラスにうながされてポーチの紐を解いて、中身を取り出した。


革のポーチの中に収まっていたのは、きらきらしい光りを放つ魅力的な濃い菫色の石だった。


瑠璃は思わず、


「カイラスが?」


と、口にした。


カイラスが珍しく言に鬱陶しげな色を含めてはっきりと答える。


「いや、わたしではない。」


「ハイラルのヴィグ殿が、ルリ、お前にと贈ってくれた。

わたしが、貴妃を迎えたことを聞いたから、祝いの品を....、と昨夜いただいた。


突然のことであったから、返礼の品を用意出来なかったが、いずれ、相応の品をヴィグ殿にお返しするので、これは、お前のものとして、与える。」


カイラスは内心に抑えたものが滲まないように、ゆっくりと瑠璃に言った。


「受け取るがよい。」

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