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5ー8

浴場を逃げ出すように出て、寝室に戻った。


カイラスの命令に従わなかったことが、あの男の口からもれて、瑠璃の失態がカイラスに知られたら、と、思うと、どうしたらいいのか、わからなかった。


初めて、裸身を異性に晒した。


自分では、ギリギリで下半身は隠せたと思いたいが、それだって、怪しいものだった。


初めて会う男に、「俺のところに来い」なんて、言われて、男のことを思い返すと顔から火が出そうだ。


カイラスに正直に話すことを一瞬考えたが、なにを、どう伝えるべきなのか、言葉に出来ないことを思った。


カイラスに、どう思われるかが、不安だった。瑠璃が、男を誘惑したと誤解されることが恐かった。


少しだけ、カイラスが寝所に戻ってくることを期待して、夜更けまで、待ってみたが、けっきょく、カイラスはあらわれなかった。


カイラスが現れなかったことに、少しばかりほっとした気持ちと、心のなかが冷える感覚の両方を感じながら、ようやく、眠りについた。


明け方近く、瑠璃が浅い意識でうとうとしていると、寝台に誰かが、瑠璃を起こさないように、そっと、ゆっくり入ってきた。


瑠璃の身体を少しの力で抱きしめて、その温もりを愛しむかのように、しばらく、じっとしていた。


瑠璃も、その温もりを求めて、身体を寄せた。


泣きながら眠りについた瑠璃の瞼に、優しく、口づけを落として、長いのか、短いのか、わからない時間が過ぎたあと、来たときのように、そっと、その場を離れていった。

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