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1ー5

浅い眠りから浮上し、五感が目覚めつつあるなかで、瑠璃には違和感があった。


いつも階下のリビングルームから聞こえてくる生活音がなく、今日はやけに静かだった。


自分のベッドに寝ているはずなのに、なぜかひとの気配がする。


ひとの気配?

というところで、意識は急激にハッキリとして瑠璃は目覚めた。


陽光が柔らかく差し込むベッドの上にはいたが、そこは、瑠璃のベッドではなかった。


天井は高く、見たこともない室内。

明らかに日本の一般的な室内とは程遠い造りで、その部屋は強いて言えば、旅番組で見た

ヨーロッパの貴族が住んでいたというお屋敷の内装に近いように思えた。


そして、ゆっくりと気配のするほうに顔を向けると、あろうことか、上半身を晒した男が、少し離れてはいたが眠っていた。


男は濃い金色の髪をし、日に焼けたような褐色の肌をしていた。瑠璃よりも、明らかに歳は上に見えた。


車の前に飛び出した時は、日本にいたはずなのに、私はいったい、いま、どこにいるのだろう。


誰か、この状況を説明してくれないものだろうか。


納得できる説明といえば、ここは夢のなか、というくらいしか思い浮かばない。


しかし、制服を着ている。


まぁ、夢の中でも、制服は着るのかも。


でも、さっきから逼迫しているこの感覚は、明らかにリアルだ。


トイレに行きたい。


この感覚だけは、とても現実感をもっていた。見知らぬ男と見知らぬ部屋というありえない状況のなかで。


男を起こさないように、そっと自分の身体を起こし、そろそろとベッドを降りようと身体の向きを変えた時だった。


ベッドについた手の手首を掴まれた。

眠っていたはずの男によって。


その触覚が、瑠璃に、これは夢の中の出来事ではないことを、痛いほど教えていた。



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