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普段の殿下と違う、と、城内のものが、皆自覚したころ、その理由が、やっと、私にも分かった。
「奥」に「表」の警守が2人訪れ、殿下になにやら報告をしていた。
「表」の警守が「奥」の殿下のもとに、それも夜分遅くに訪ねてくるなんて、領内で、今すぐ対処しなければならない深刻な事態が起きたのか、と、耳をそばだてていると、
警守の口から、
「指示の通りラタ周辺を広い範囲で探しました。目撃談もなにひとつ出てきません。
貴妃様の足取りは、まったくつかめず、申し訳ありません。」
カイラスは、真剣な面差しで、警守の報告を受けたあと、
「分かった。
引き続き、黒髪の年若い異国人が現れないか捜索は、ラタに限らず続けて欲しい。
今日は、ご苦労であった。下がってよい。」
と、言葉をかけた。
マリィは、自分の耳を疑った。
警守が口にしたのは「貴妃様」だっただろうか?




